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「色・彩」展を彩る生きものたち
 └─2015/10/23

 多摩動物公園では2015年10月1日から12月1日まで、企画展「色・彩──生物のいろとデザインの不思議」を開催しています(お知らせ)。生物の色や形から「とけこむ」「めだつ」「かわる」のテーマに分け、生存戦略などの秘密を考えます。

 さて、この企画展では、色鮮やかな熱帯の生き物の解説だけでなく、身近な生物であるニホンアマガエルとアカハライモリの生体も展示しています。

 ニホンアマガエルの特徴は、体の色が周囲の環境によって変化するということです。実際、飼育を始めた頃は鮮やかな緑色でしたが、周囲の色と同調するだけでなく、太陽の光の強さや湿気も影響する結果、茶色や白っぽい色に変化したり、模様が生じたり、さまざまに変化しました。水入れ容器のピンク色に同調したのか、白っぽいピンクに変色したものもいました。

体に模様が出てきたニホンアマガエル
色や模様に変化が見られない個体

 その一方、変化がほとんど生じない個体も見られます。これらの個体は飼育当初から現在までずっと緑色で小ぶりな体をしており、見つけやすい場所に一日中いることが多いという特徴もありました。

 展示水槽内には朽木や葉の造形物が多くあり、カエルがたくみに隠れています。また、展示個体を週替わりで変えているので、飼育環境の変化によって、さまざまな色の個体を見ることができるかもしれません。


アカハライモリ。腹部の色が見えるよう、下に鏡を置きました

 アカハライモリもニホンアマガエルと同じく、かつての日本ではなじみ深い動物でした。皮膚の粘液には毒が含まれ、名前の由来にもなっている赤いお腹は敵に対する警告色と考えられています。企画展では、この赤いお腹を見ていただくため水槽下に鏡を置きました。葉の上などで休むこともありますが、よく動くので、じっくり見ているとこの特徴的なお腹を見ることができます。

 アカハライモリは日本にしかいない固有種ですが、東京都23区内ではほぼ絶滅したと考えられています。ニホンアマガエルでさえ都内の生息数が減少しています。この企画展を機に、身近な生き物の色や形にも興味をもっていただき、彼らがくらしている環境についても考えていただければと思います。

〔多摩動物公園教育普及係 林亜紀〕

(2015年10月23日)


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