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水鳥池の卵を守れ! カラス対策とヒシクイの初孵化
 └─2015/09/11

 多摩動物公園に入って、まっすぐ歩くと左手に大きな池が2つ見えてきます。6種のガンを約100羽飼育している水鳥池です。水鳥池では毎年春になると産卵シーズンを迎えますが、池にはガンの卵を狙って野生のカラスたちが出入りしています。


ネットを張った池

 そこで、2015年の春はカラスから卵を守るために、池にネットを張りました。ネットといっても池全体を覆えるような巨大なネットは売っていませんし、張ることも大変です。そこで、ガンたちが好んで卵を産む巣箱の近くや植込みの近くにネットを張ることにしました。

 使用したネットは農家の方が使用する防鳥ネットです。100畳用というかなり大きなネットを3枚使用して巣を守りました。

 4月下旬になるとガンたちの産卵が始まりました。今年はカラスが巣箱の中に入ってこないのでガンたちも安心して巣箱に巣を作れているようで、巣への出入りが例年より多く観察されました。5月中旬になると大型のガンであるヒシクイが巣箱に入ったり出たりしているのが確認できました。巣箱の中をのぞくと、メスのヒシクイが6個も卵を温めていました。


19日齢と20日齢

 万が一ですが、抱卵中にカラスが巣に入ってきたり、あるいは他の種類のガンが入ってきたりすることも考えられるので、親鳥の温めている卵を孵卵器(卵を人工的に温めて孵化させる器械)に入れたところ、6月12日と13日に孵化しました。多摩動物公園でのヒシクイの孵化は初めてのできごとです。


いずれの写真も78日齢と79日齢

 2羽のひなは他のガンのひなと一緒にトキ舎横の5つ連なった飼育ケージですくすくと育っています。まだあどけない幼鳥たちにぜひ会いに来てください。

〔多摩動物公園野生生物保全センター 石井淳子〕

(2015年09月11日)


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