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オオコノハズクの未知の姿を巣箱カメラで観察!
 └─2015/07/04

 「どこにいるんだろう?」「あれ?いないんじゃない」──そんな会話がよく聞こえてくるのは多摩動物公園のフクロウ舎の一角、オオコノハズクのケージです。オオコノハズクは体が小さく、木の一部に「化ける」のが得意で、日中はほとんど動かないため、来園者の方々にはなかなか見つけてもらえなかったのです。

 そこで、オオコノハズクの姿をもっとみなさんに見ていただきたいと思い、今年の初めから、オオコノハズクが日中よく入って休んでいる巣箱に「巣箱カメラ」を取り付け、園路からモニターで見られるようにしました。カメラは巣箱の天井部分に、上から巣箱の中を覗くような状態で取り付けた赤外線カメラです。

 
左:オオコノハズクのケージ前に設置した「巣箱カメラ」のモニター
右:巣箱内にぎゅうぎゅうに入っているひなたち

 モニターには、頭のてっぺんや尻尾の一部しか映っていないことのほうが多いのですが、たまに昼間でも目を開けて、巣箱の中で上を向く姿など、今まで知らなかったオオコノハズクの姿を見ることができるようになりました。

 そして春になると、ひそかに期待していた姿を見ることができました。それは、巣箱の中で子育てをする姿です。3月なかば、発情期特有の鳴き交わしが聞こえるようになりました。オスは携帯電話のバイブ音のようなブーブーブーという低い声を出し、メスはそこに合いの手をいれるようにフィーフィーと鳴いて答えます。それからしばらくした日の夕方、いつもは静かなケージ内でオオコノハズクたちが活発に動いていました。メスにのって交尾をするオス、それを追い払う別のオス、メスのいる巣箱にえさのマウスを届けるオスなど、まさに繁殖期真っ盛りという感じでした。

 数日でケージ内はまた静かになり、巣箱カメラには卵を温めるメスの姿が映るようになりました。昨年はメスが巣箱から出てこなくなってからひなが育つまで、巣箱内は謎の世界でした。

 巣箱カメラを設置した今年は、卵をじっと抱くメスの姿、そこにマウスを届けるオス、ひなが孵化し、メスがひなにえさを与える姿、そして小さかったひながあっという間に大きくなり、巣箱の中でぎゅうぎゅうになっている姿など、今まで見ることのできなかった巣箱の中の世界を見ることができました。外から見ると静かで何もないような巣箱も、中を覗くと元気な命であふれていました。


巣立ったひなたち

 現在、ひなは巣立ち、メス親は今年2回目の卵を抱いています。うまくいけばまたひなが大きくなる姿を巣箱カメラで見ることができるかもしれません。ぜひ、多摩動物公園にいらっしゃったら、巣箱カメラを見にきてください。

 ※なお、2015年7月18日(土)14:00〜14:30、「飼育係のスペシャルトーク」でオオコノハズクの子育てのようすをお話しします。巣箱内を録画した動画もご紹介します。正門近くのウォッチングホール動物ホールにぜひお越しください。

 ※「飼育係のスペシャルトーク」を含め、多摩動物公園のキーパーズトークについてはこちらをごらんください

〔多摩動物公園南園飼育展示係 中島亜美〕

(2015年07月04日)


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