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家畜馬(道産子)と野生馬(モウコノウマ)
 └─2015/06/12

 多摩動物公園では現在2種類のウマを飼育しています。日本の家畜馬で道産子とも呼ばれる北海道和種馬と野生馬のモウコノウマです。

 家畜馬とは、人の生活の役に立つために改良がなされてきたウマです。そのため、その土地ごとにさまざまな特徴をもっており、たとえば体重1トンもある巨体でソリを引くペルシュロンや、体高40センチほどしかないファラベラなどが知られています。多摩にいる北海道和種馬は、北海道で重たい荷物を長距離運搬する際などに活躍しました。

 そんな中、人の手が加えられていない唯一の野生の馬、それがモウコノウマです。モウコノウマは1968年に一度野生下では絶滅してしまったのですが、ヨーロッパの動物園で飼育していた13頭ほどの個体群から保全活動が進められ、現在では2000頭以上に増えました。日本では10頭が飼育されており、そのうち8頭が多摩動物公園にいます。


たてがみの長さも家畜馬と異なるモウコノウマ

 モウコノウマは人になつきにくいことから家畜化されなかったと言われており、現在では唯一の野生馬となりました。

 多摩動物公園の「アジアの平原」では、以上のように歴史からしてまったく異なる家畜馬と野生馬を並べて展示しています。

 ただ、来園者の方から「同じウマだね」と言われることもあります。たしかにがっしりとした体型や、短めの足など、似ている部分もあります。しかし、たてがみの長さ、性質、群れの構成など、たくさんのちがいがあるので、よく見るとそれぞれの歩んできた歴史が見えてくると思います。


トークイベントで参加者を乗せる家畜馬の「仁太郎」

 そのちがいを見て体験していただこうと、現在週に一度ほど「家畜馬トークイベント」をおこなっています(下記リンク)。初めに家畜馬と野生馬のちがいについて簡単にお話しし、その後でウマとふれあい、乗馬体験をしていただくイベントです。人とふれあえるのが家畜馬の最大の特徴ですので、ぜひ多摩動物公園のこのイベントを通じて、家畜馬と野生馬のちがいについて知っていただければと思います。

・家畜馬トークイベント開催(2015年6月2015年7月

〔多摩動物公園南園飼育展示係 野村星矢〕

(2015年06月12日)


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