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「小笠原ワークショップ」を開催しました
 └─2015/04/03

 2015年3月1日、多摩動物公園で「小笠原ワークショップ」を開催しました。小笠原諸島は、過去に一度も大陸と地続きになったことのない海洋島で、多くの固有種が生息しており、ご存知のとおり2011年6月には世界自然遺産として登録されました。

 都立動物園・水族園では、東京都の島である小笠原の生物の保全に関わる活動を進めるとともに、小笠原の自然に関する普及啓発にも力を入れています。今回のワークショップはその一環として実施しました。企画にあたっては小笠原村から「修学旅行などで小笠原に来ている高校生を対象としては」とのアイディアをいただき、対象となる学校に呼びかけて参加を募りました。

 当日は東京都内の3校から計12名の高校生が参加しました。まず、「小笠原の自然と人の歴史──東洋のガラパゴスへの招待」と題した、駒澤大学教授の清水善和氏の基調講演をおこないました。

 その後、4つのグループに分かれ、4人の講師が各グループを順番に回って座談会をおこないました。座談会の講師は清水教授のほかに、東京都小笠原レンジャーの後藤雅文氏と、都立動物園が飼育繁殖に取り組むアカガシラカラスバトおよびオガサワラシジミの各担当者です。小笠原の自然について各分野の講師の話を聞いたり、参加した生徒が小笠原で見た印象的な生き物について話をしたり、自由な雰囲気で意見交換ができる場となりました。


育雛舎見学

 昼食休憩の前に、アカガシラカラスバトを飼育展示している育雛舎の見学をおこない、飼育担当者が動物園での取り組みについて解説しました。孵卵器の中を見たり発生中の卵を検卵したりして、とても好評でした。

 座談会終了後は、「小笠原の自然を守るために動物園ができること、私たちができること」をテーマにしたグループディスカッションです。「動物園ができること」として、飼育下繁殖の他に、小笠原の現状に関する普及活動、そのために小笠原の生物を集めた展示コーナーの制作など、具体的なアイディアも出ました。「私たちができること」としては、もっと小笠原について興味関心をもつこと、外来種問題について知り、現地に持ち込まないようにすること、などの意見がありました。


ワークショップのようす

 最後にワークショップ全体のまとめとして、グループごとに小笠原PRポスターを作成し、口頭発表をおこないました。小笠原の自然のすばらしさを紹介するだけでなく、どのグループも外来種問題について必ず触れていて、小笠原の自然やその置かれている現状について理解を深めてもらえたのではないかと感じました。楽しかった、だけではない“お土産”を持ち帰っていただけたなら、主催した私たちもとても嬉しく思います。

〔多摩動物公園野生生物保全センター 香坂美和〕

(2015年04月03日)


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