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いってらっしゃい!キリンのユララ
 └─2015/03/28

 先週2015年3月18日、多摩動物公園で生まれて育ったキリンのメス「ユララ」(2歳2か月)が、繁殖を目指して豊橋総合動植物公園に移動しました。


ユリネを守るように立つユララ(上)

 ユララは2013年1月3日に生まれました。生まれた直後から肢の関節に異常があり、うまく立つことができなかったため、成長に合わせてこまめにギプスを変える治療が約1か月続きました。

・記事「キリンの赤ちゃんが生まれました!」(2013年1月31日)

 その後、肢の異常など忘れてしまったかのように、食欲旺盛なユララは体格もよくなり、丈夫に育ちました。ユララより半年あとに生まれた「ユリネ」が大放飼場に出ると、ユララとユリネは親分と子分のように、いつもいっしょに過ごしていました。

 とくに生後約4か月で母親を亡くしてしまったユリネにとって、ユララはまさしく親分のように頼もしい存在だったように思います。キリンは群れで暮らし、親ではない個体も子どもの世話をする姿がよく見られますが、ユララは半年しか年の違わないユリネをかばうように、座っているユリネのそばに立つ姿が見られました。

 搬出に向けて、ユララを群れから分ける練習を今年の2月末から始めました。最初は慣れない環境に戸惑い、嫌がってうろつく姿が見られましたが、徐々に慣れ、3月初旬には終日別棟に移し、搬出用の箱へ慣らす練習を始めました。群れから離れて過ごすのは初めてのことなので最初の数日はえさもほとんど食べず、落ち着かないようすでしたが、箱には順調に慣れていきました。ユリネも初めの数日はユララを探すように、狭い隙間から隣の部屋を覗く姿が見られましたが、その頻度も徐々に減っていきました。

 
左:箱入れ(運搬時の高さ制限があるので天井を下げます) 右:搬出作業(風よけシートで覆います)


 搬出当日は雨の予報も出ていましたが、新しい門出を祝うような晴天に恵まれ、暖かい日となりました。ユララもすぐに箱に入り、搬出作業も順調でした。豊橋総合動植物公園に到着後もすぐに部屋に入り、えさも食べて元気であるとの報告を受けています(豊橋総合動植物公園のウェブサイトで、到着後のユララのようすが動画で紹介されています

 キリンのメスが繁殖可能になるのは3歳〜4歳といわれています。妊娠期間が1年3か月と長いので、ユララの子どもが見られるのはもう少し先のことです。しかし、ユララは群れで育ち、年下のユリネやワビスケの成長を見てきています。子どもができたときには、きっといいお母さんになることでしょう。まずは、群れから2週間離れてさびしい思いをしたことでしょうから、豊橋総合動植物公園で待っている「ウリュウ」君と一日でも早くいっしょになって、なかよく過ごしてほしいと思います。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 友岡梨恵〕

(2015年03月28日)


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