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なぜか反抗期(?)キュウシュウノウサギ
 └─2015/01/30

 多摩動物公園のノウサギ舎には、ノウサギの亜種、トウホクノウサギとキュウシュウノウサギを雌雄2頭ずつ展示しています。ノウサギ舎に向かって右側の2頭がトウホクノウサギ、左側の2頭がキュウシュウノウサギです。

 ノウサギは危険を感じると素早く逃げるか、やぶや茂みの中に隠れてじっとして待つ臆病な動物です。ところが、多摩動物公園のノウサギ舎で展示しているキュウシュウノウサギのメスはちょっと変わっています。


 このメスは、ふだんからよく動き回るので見ていただくにはいいのですが、私たちに対しての態度が、他の個体とは明らかにちがっているのです。

 ノウサギの展示室は、大部屋、小部屋、えさを食べる奥の部屋、寝部屋の4つに分かれています。飼育係はノウサギ舎に入ると、トウホクノウサギ側から各部屋の清掃をしていくのですが、初めのうちは距離が離れているのでおとなしくしているものの、このキュウシュウノウサギのメスは、私たちが近づくにつれて4部屋の中を走り回り、扉や金網を前足でガリガリとひっかき始めます。

 こちらの姿が見えなければ、飼育係が近くで作業をしていても大丈夫なのですが、見える位置まで近づくと、大部屋とえさ部屋の中仕切り板を閉めないといけません。


 以前、閉めないで作業をしていたら、えさ部屋の中で執拗にバタバタ暴れ始め、何を思ったのか陶器製のえさ鉢をくわえて投げ始めました。入っていたウサギ用ペレットは当然、全部ばらまかれてしまいます。それでも気がすまなかったのか、空のえさ鉢まで何度も投げ飛ばし、あげくの果てに大部屋のコンクリートの床にえさ鉢を落とし……。こんなことがあって、えさ鉢は今までに2個も割られてしまいました。

 以前はおとなしかったのですが、なぜか人間ぎらいになったのか? 反抗期なのか? まさか自己アピールなのか?──原因はわかりません。暴れてケガをしないうちに、落ち着いたふつうのノウサギに戻ってもらいたいものです。

〔多摩動物公園南園飼育展示係 横田利明〕

(2015年01月30日)


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