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アジアゾウ「アヌーラ」の夜間放飼
 └─2014/08/29

 スリランカゾウの「アヌーラ」は、多摩動物公園が開園したときから56年間飼育しており、オスとしては国内最高齢のアジアゾウです。メスゾウと一緒に生活している時期もありましたが、1993年に最後のメスゾウ「ガチャコ」が死亡してから20年以上1頭で生活しています。

 その高齢ゾウのアヌーラのことを考え、この夏新しい試みをおこないました。それは、日中だけでなく夜間も放飼場に出しておくことです。

 これまでは1年を通して朝9時ごろから夕方16時ごろまでしか外にいることはできませんでした。とくに2年前に「アマラ」「ヴィドゥラ」が来園してからは、放飼場と寝室前の狭いテラスに交代で出しているため、午前中の数時間しか放飼場にいることができません。それを改善するために、気温の高い夏場限定で夜間放飼を開始しました。

 当初はモート(空堀)に落ちるのではないかと心配しました。そのため、夜間照明や監視カメラを増設し、初めの数日は係員が泊りで観察して万が一に備えました。

 ところがこちらの心配をよそに、アヌーラは初日からかなりリラックスしたようすで、マイペースに採食や砂浴び、水浴びをしていました。この季節特有の雷や大雨にもまったく動じません。

 また、夜中の2時ごろからプールに入って、長い時には3時間以上そこで休んでいるようすが見られました。

 現在は夜間の放飼前に放飼場の清掃や餌の準備をするのですが、その間も早く出せと言わんばかりに、部屋の扉に張り付いています。

 夜間放飼は最低気温が15℃以上を目安に今後もおこなう予定です。残念ながらそのようすはごらんになれませんが、この試みは展示のためではなくアヌーラの健康管理のためにおこなっていますので、ご理解いただければ幸いです。

写真:昼間の放飼場での「アヌーラ」

〔多摩動物公園南園飼育展示係 藤本卓也〕

(2014年08月29日)



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