ニュース
チンパンジーの子どもたち、それぞれの成長
 └─2014/05/09

 いつまでも子どもと思いつつ、成長は早いものでいつの間にか親の手を離れて……といっても、これは多摩動物公園のチンパンジーの話です。アンナ、ボンボン、ミカン、マックス、ジン、フブキの近況をお伝えします。

 まずは9歳になったアンナ(メス)の話です。じつはいま思春期真っ只中です。野生では生まれ育った群れを出て、別の群れへ移動する年齢です。アンナも独立心が増し、夕方寝室へ戻る時間になっても、群れの動きから外れて運動場にアンナだけ残ることが増え、わざと飼育係を困らせているようにも思えます。精神的な成長過程ではありますが、全頭を寝室に戻さないと清掃ができないので、悩みの種です。

 8歳のボンボン(オス)は、体つきが日増しにたくましくなってきています。生えるのが遅くて心配だった永久歯も立派に生えました。また、リーダーのケンタの後ろを歩くことが増え、オスの自覚が芽生えてきているようです。

 弟フブキが生まれた8歳のミカン(メス)は、母親が赤ん坊で手いっぱいなので、自然に自立心が育っています。弟が生まれる前はだれかれ構わずケンカを売るトラブルメーカーでしたが、弟ができてからは母親が助太刀に来てくれることが少なくなり、ケンカになっても自分から相手に謝りにいくようになりました。

 6歳のマックス(オス、アンナの弟)は、性成熟に達する年齢となったため発情したメスとは放飼場所を分けています。これに伴い、母親と寝室を別々にしました。ただ、母親とは大きな格子窓がある隣室同士なので、夜は安心して寝ています。

 5歳のジン(オス)は相変わらず元気いっぱいです。一つ変わったことは、自分より年下の仲間ができたことです。モモコが抱いているフブキに触りたくてしょうがないようすで、あまりにもしつこく付いて歩くので、時折モモコに叱られています。

 最年少のフブキ(オス)は生後3か月が経ち、表情がはっきりとしてきました。生まれてすぐは授乳の時以外はほとんど寝ていましたが、最近は起きている時間が増え、周囲をよく観察しています。

 チンパンジーは0〜4歳が「アカンボウ期」、5〜7歳が「コドモ期」、8歳から「ワカモノ期」という年齢区分があります。体の大きさでも区別がつくと思いますので、観察のてがかりにしてみてください。

写真:フブキが気になるアンナ

〔多摩動物公園北園飼育展示係 牧村さよ子〕

(2014年05月09日)



ページトップへ