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ムササビたちの夜遊び?
 └─2014/01/11

 多摩動物公園では、「サスケ」(オス、16歳)を筆頭に「ハンゾウ」(オス、10歳)、「アズミ」(メス、3歳)と3頭のムササビを飼育しています。

 2013年4月から飼育担当になり、前任者からの引き継ぎの際、「サスケとハンゾウは仲がよくオス同士でも大丈夫だけど、メスのアズミとは仲が悪いからオスと一緒にしないよう気を付けて」と言われました。実際、寝部屋は金網で2つに仕切られ、自由に行き来できないようになっていて、手前の部屋にオス2頭、奥の部屋にメスのアズミがいます。

 ある日のこと、いつものようにムササビ舎の掃除をしているとき、誤ってステンレス製の餌入れを床に落としてしまい、それに驚いたアズミが巣箱から飛び出しました。そのようすを目で追うと、アズミはオスとの間を仕切っている金網の上部によじ登り、そこに開いている穴からオスの部屋に入ってしまいました。一瞬「えっ、何でこんな所に穴が?」と目を疑いました。穴の大きさは、縦3センチ、横10センチほどしかありません。しかしじつは、ムササビは飛膜があるため大きく見えますが、胴体は細くて結構狭い所でも潜り込むことができるのです。

 この穴の存在で分かったことは、以前は仲が悪いと思われていたオスとメスがじつは仲がよく、夜になるとお互いの部屋を行き来し、朝になると自分の巣穴(箱)に帰っていたらしいということです。

 抜け穴は、今では当初の3倍くらいの大きさになり、外からでも見ることができます。「そんな穴があるなら金網の仕切りを取り外したら」と言われるのですが、今のところ外す予定はありません。なぜなら今のままのほうが、自分たちが作った抜け穴でお互いの部屋に遊びに行っている気になれると思うからです。

 ムササビは夜行性のため日中は巣穴の中にいて、活動する姿を見ることはほとんどありませんが、丸くなって寝ている姿は大変可愛らしいものです。ぜひ見に来てください。

写真:オスのムササビ「ハンゾウ」

〔多摩動物公園南園飼育展示係 横田利明〕

(2014年01月11日)



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