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小さな体に大きな魅力、ノミバッタ
 └─2013/12/27

(追記:2013年12月に展示再開した多摩動物公園のオバケコロギスは、残念ながら2014年1月16日に死亡しました。現在は展示しておりません)

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 オバケコロギスの展示が多摩動物公園昆虫園で再開しました。インドネシアの熱帯雨林から来たこの虫は、巨大で奇妙な姿をしており、名前までインパクトのある、スケールの大きな助っ人外国昆虫です。来園者からの問い合わせも多く、昆虫園では今、オバケコロギスフィーバーが巻き起こっております。

 そんな最中、昆虫生態園バッタコーナーの一角で、ひっそりと「ノミバッタ」の展示を始めました。このバッタは成虫でも体長4〜6ミリとバッタのなかまとしては最小クラスです。オバケコロギスと比べると、脚の先端のかぎ爪くらいの大きさにしかなりません。この2種は、じつはどちらも同じバッタ目に属しているというから驚きです。

 黒ゴマのように小さな体、バッタなのにノミとつく名前、採集場所も昆虫園の裏、というなんともスケールの小さいノミバッタですが、秘めたる魅力はビッグです。

 まずはその優れた跳躍力。ノミバッタを採集する際、地面にかがんで探していると、飛び跳ねたノミバッタが顔に当たることが何回もありました。また、ノミバッタを床に落としたときに、飛び跳ねて高さ50センチのバケツの上に逃げたことがあります。この高さは体長の約100倍で、人間の大人で例えると、東京タワーの半分の高さまで飛ぶことになります。

 次に、ほかのバッタとは一線を画す容姿も魅力です。拡大するとよくわかるのですが、メタリックに黒光りし、まるでSFロボットのようです。バッタと名付けられていますが、じつはバッタなのかコオロギなのか、またどちらでもないのか、いまだ不明というのもうなずけます。

 生活の仕方も少し変わっていて、土の表面にドーム状の巣穴をつくります。また自ら発する匂いで天敵から身を守るといわれています。

 展示では、アリの巣観察用のゼリーにシースルーの巣穴を作ってもらい、姿を見られるようにしています。ぜひオバケコロギスの迫力ある魅力を堪能したあとは、小粒でもピリリとからい(?)ノミバッタもごらんください。

写真上:ノミバッタ(下は長さ約5ミリのシャープペンシルの芯)
写真中:オバケコロギスとノミバッタ(矢印)
写真下:アリの巣観察用ゼリーに巣を作ったノミバッタ

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 田中陽介〕

(2013年12月27日)




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