ニュース
アムールトラたちの近況
 └─2013/03/15

 多摩動物公園には現在3頭のアムールトラがいます。6歳の母親「シズカ」と2歳になる娘の「アイ」「マオ」です。

 アイとマオの父親は釧路市動物園の「リング」です。リングは、2009年から約1年間釧路からお借りし、シズカとの交尾の結果、2010年7月にメスの「アイ」と「マオ」、オスの「ケイスケ」の3頭が誕生しました(残念ながらケイスケは2010年12月30日に死亡しました[記事])。

 トラは野生では、1歳半から2歳くらいで親離れした後、一頭で縄張りを作って生活します。アイとマオは2歳半ですから親離れの時期をすでに過ぎています。シズカは大きくなった子どもたちがうっとおしくなっているようで、すり寄ってくる子どもたちを冷たくあしらうことも多くなってきました。

 とくに発情が来ているときはそれが顕著です。発情して地面にゴロゴロ転がるシズカに子どもがちょっかいを出そうものなら、激しく吠えて追い払われます。「母親なのに冷たい」と思われるかもしれませんが、これは野生動物であるトラの本能です。シズカはもう子育てを終えたのです。

 トラのメスは3歳くらいで性成熟に達します。シズカも3歳半からリングとの同居を始め、4歳になって間もなく出産しています。アイとマオもいつまでも母親と一緒に居続けるのはいいことではありません。母親への依存心が強くなり、単独性であるトラとしての本能が育ちません。

 そこで、隣のオオカミを園内の別の場所に移したの機に、室内ではそれぞれ別室に収容して餌を与えるようにしました。子どもたちも十分に成長しているので、個別に収容してもとくに問題はなく、落ち着いて過ごしています。いまのところ運動場が一つなので、外では一緒に過ごしていますが、状況を見て外でも個別に過ごすように変えていく予定です。まだ予定が立っているわけではありませんが、いずれ待望のオスを導入して親子ともども繁殖できる日を心待ちにしています。

写真:(左)アイ(右)シズカ

〔多摩動物公園南園飼育展示係 熊谷岳〕

(※最初の記事公開の際、本文2段落目最後に「2010年7月に2頭が誕生しました」とありましたが、元の原稿は「2010年7月に誕生しました」でした。編集部による追記ミスです。お詫びして上記のとおり修正いたします。)

(2013年03月15日)
(2013年03月18日訂正)



ページトップへ