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アフリカゾウ「マコ」との別れ
 └─2011/08/26

 2011年7月29日、多摩動物公園でアフリカゾウのメス「マコ」が46歳で死亡しました。国内で飼育されているアフリカゾウの中では最高齢でした。

 マコは1967年7月、同い年のメスの「アコ」と共にアフリカからやって来ました。多摩動物公園にとって初めてのアフリカゾウです。来園当時、アコは人になついていましたが、マコは荒さが残っていたそうです。その3年後にはオスの「タマオ」が加わりました。

 タマオの成長にともない、マコやアコとの繁殖が期待されましたが、なかなか実を結ばず、新しいお嫁さん候補として、1996年に「アイ」、1999年に「チーキ」が加わりました。

 野生のアフリカゾウのメスは、生まれた群れで一生を送ります。そのため、成獣のアイとチーキの出現は、マコやアコを大いに戸惑わせたことでしょう。しかし、社交的なマコはつきあい方をすぐに見出しました。とくに、年少のアイはいたずらっぽいところがあり、マコの格好の遊び相手になりました。

 こうしてオスのタマオを中心に、4頭のメスはひとつの群れとして、同じ放飼場で過ごしていました。

 しかし2006年8月、タマオの急死をきっかけに、メスたちは心の安定を保てなくなりました。とくにアコは、放飼場と寝室の出入りを渋ることがあり、マコに誘導されるようにして外に出ることもありました。

 その後、アコは放飼場に出さず、放飼場ではマコとチーキを同居させていました。2009年3月にアイが群馬サファリパークに出発した後、今年の6月にはマコとアコの再同居の準備を進めていましたが、7月11日からマコは室内に入るのを嫌がるようになり、やがて歩き方にも不具合が見られるようになったため、7月20日からは室内で静養していました。

 しかし、足の不具合によって室内でも安静を保てず、改善の見られないまま、7月29日未明、大きな体をゆっくりと横たえ、静かに息を引き取りました。マコが元気を取り戻し、再びアコと放飼場で過ごす日も遠くないと思っていただけに、本当に残念でなりません。

 活発で社交的なマコは、アコやチーキの心の支えだっただけでなく、飼育係にも元気をくれました。丸顔が愛らしくマコは、水浴びや丸太遊びなどの動きにも「華」がありました。今はただ心から冥福を祈ります。ありがとう、マコ。

 なお、アフリカゾウ舎前バオバブ内に設けられた献花台に多くの方からお悔やみの花束や手紙をいただきました。ありがとうございました。

・関連ニュース「アフリカゾウのマコが急逝しました」(2011年07月29日)
(マコに関する過去の記事へのリンクはこの記事↑の末尾をごらんください)

写真上:水浴び中のマコ
写真中:土山で転がるマコ
写真下:気の合ったタマオ(左)と一緒

〔多摩動物公園北園飼育展示係 中尾理幸〕

(2011年08月26日)



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