2006年11月24~25日、神奈川県横浜市で第18回日本動物園水族館両生類爬虫類会議が開催されました。ホストは野毛山動物園です。日本動物園水族館協会が後援するこの会議は、上野動物園の両生爬虫類館(ビバリウム)が事務局をつとめ、運営しています。
今回の発表は8演題。葛西臨海水族園は「人工の水辺環境における管理手法の試みについて」、井の頭自然文化園は「東京産イモリの域内・域外保全」について発表しました。
会議の検討課題として、世界各地で蔓延し始めている「ツボカビ症」について、天王寺動植物公園の高見一利さんや、先日ドイツで行われたCBSG(保全繁殖専門家グループ)の会議に出席された安佐動物公園の桑原一司さんから報告がありました。
世界の両生類 5,743種のうち、2,469種(43%)は生息数が減少し、1,856種(32%)に絶滅の恐れがあり、120種が 1980年以降絶滅したと推測されているそうです。絶滅を加速させている原因の一つに、「ツボカビ症」があげられています。
ツボカビ症は致死率が高く(90%以上)、伝搬性が強いため、世界中で猛威をふるい、すでにオーストラリアや中米の両生類が壊滅的打撃を受けています。このため、オーストラリア農水省では、輸出入に関して法律・検疫を強化するなど、国をあげて対策に取り組んでいます。
ツボカビ症が確認されていないのは、これまでアジア地域のみとされてきましたが、2005年にタイで確認され、日本への侵入も懸念されています。日本では十分な法的な対応もなく、水際で阻止するためのきびしい検疫や規制の整備も遅れています。
日本のカエルは固有種の割合が高いため、絶滅したら回復はできません。後世になってもカエルの鳴き声が聞けるよう、「ツボカビ」の侵入を阻止しなければなりません。
※英文ですが、くわしくは
CBSG のサイトから、Amphitiban Decline(両生類の危機)をごらんください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 杉野隆〕
写真はトウキョウダルマガエル
(2006年12月1日)