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水族園の目の前の海、「西なぎさ」を展示する「葛西の海2」水槽
 └─ 2022/12/09
 葛西臨海水族園では、葛西海浜公園にある人工干潟「西なぎさ」で2ヵ月に一度、小型地曳網を使った生物調査をおこなっています。網に入った生き物の種類や数、大きさを記録し、「西なぎさ」をどのような生き物が利用しているのかを調べます。

人工干潟「西なぎさ」
地曳網調査のようす

 そして、その時々の調査結果を反映し、「西なぎさ」で今見られる生き物を展示しているのが、「東京の海」エリア2階にある「葛西の海2」水槽です。春はビリンゴやエドハゼなどハゼのなかまの幼魚、夏はクロダイやギマの幼魚など、季節ごとに移り変わる「西なぎさ」の生物相を紹介しています。


向かって左側が「葛西の海2」水槽

 長年続けている地曳網調査ですが、毎年おなじみのこれらの魚のほかに、いまだに初めて出会う生き物もいます。今年8月の調査では、初めてイネゴチが確認され、水槽で展示することができました。


8月の地曳網調査で入網したイネゴチ

 現在この水槽では、10月の調査で網に入ったコショウダイやマゴチの幼魚、ガンテンイシヨウジを展示しています。

 ところで、先ほどから「○○の幼魚」という表現がよく登場するなと思いませんか? 実は、遠浅の干潟は捕食者である大きな魚が入ってきにくく、またえさとなる小さな生き物が豊富なため、干潟で子ども時代をすごす魚が数多く知られています。今回の調査で見られたこれらの幼魚たちは、冬が来る前に大きく成長し、次第に沖へと移動していきます。


コショウダイの幼魚

 「葛西の海2」水槽から窓の外に視線を移すと、水族園の目の前に広がる東京湾が見渡せます。ぜひ、私たちの身近にある海のなかにも、思いをはせてみてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 宮崎寧子〕

(2022年12月09日)



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