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水族園で働くってどんな感じ? オンラインで職場体験
 └─ 2022/03/25
 葛西臨海水族園では主に中学生のみなさんを対象に、将来の職業選択に生かしていただくため、職場体験の受け入れをおこなっています。

 ふだんの職場体験では、1~4日の期間で水槽の掃除や情報資料室での質問対応、レストランやギフトショップでの来園者対応などを、スタッフといっしょに体験してもらいます。2022年2月に予定していた職場体験も、数か月前から準備を進めていました。しかし、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、水族園は2022年1月11日から臨時休園になってしまいました。残念ながら予定していた職場体験は中止となってしまいましたが、学校側からの希望もあり、今回初めてオンラインで実施することになりました。


水族園での仕事はさまざま

 職場体験の目的は、仕事をしている人と接し、実際に体験することで、働くことの意義を知ったり、コミュニケーションをとったりすることです。そのため、たとえオンラインであってもできるだけ「体験」を盛り込みたいと考え、いろいろな工夫をしました。

 まず、展示生物の種名を表示する「種ラベル」を実際に作成してもらいました。実はスタッフがほぼすべて手づくりしているこのラベル。まずは掲載されている学名の説明から始まり、種名や英名の調べ方について国内外の書籍を参照しながら紹介したり、展示状況を来園者に正確に伝えることの大切さについて話したりしました。そのあとで、事前に郵送したラベルをつくってもらい、キレイにできているかをカメラ越しにチェックしました。

切る位置を説明
カメラ越しにラベルをチェック

 さらに「比べて発見! 魚の秘密」と題して、水族園でおこなっている教育プログラムを実際に体験してもらいました。市場で入手した鮮魚を学校に事前に発送することで、自分の手元で実際に魚の体のつくりを観察してもらいます。

 生徒たちはまずカメラ越しにクロマグロの体のつくりを観察したあと、手元のホウボウやカワハギなどをじっくり観察して発見したクロマグロとの違いや、そこから推測できるそれぞれの魚のくらしについて、自分の言葉で話してくれました。水族園では生き物を展示するだけでなく、こういった教育活動も実施していることを知ってもらえたのではないかと思います。

泳ぎつづけるくらしにあったクロマグロのからだ
カワハギはマグロと比べて何がちがう?

 このほかにも、スマートフォンを使って休園中の水族園をめぐり、ひとつひとつの水槽の生き物のことや展示の工夫について紹介したり、クロマグロのエサの時間をリアルタイムで観察したり、パワーポイントやYouTubeの動画も使いながら飼育係の仕事を紹介したりしました。


スマートフォンを使って休園中の園内を案内

 2日間にわたる職場体験の最後には、先生からは「いろいろ工夫していただき泣きそうになった」、生徒からも「オンラインでもこんなに体験できるなんて」といったうれしい感想をいただきました。

 やはり実際に水族園で生き物を直接観察したり、職場を体験したりしてもらうのがいちばんですが、今回の職場体験ではコロナ禍になってから積み重ねてきた経験を生かすことができたと考えています。たとえさまざまな制限のある状況であっても、今後もできることに取り組んでいきたいです。

〔葛西臨海水族園教育普及係 大河原陽子〕

(2022年03月25日)



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