ニュース
ニシキエビの“チョキ”を探せ!
 └─2020/12/25
 お正月が近づいてきました。お正月にふさわしいおめでたい海の生き物といえば……イセエビ。イセエビは大きくて見栄えがすること、加熱すると赤くなり華やかなこと、また、曲がった背が長寿を連想することなどが縁起のよさと結びつくようです。

 イセエビのなかまにもさまざまな種がいますが、最大の種がニシキエビです。成長すると触角を除いた体長が55cm、触角も入れると145cmにもなる大物です。現在、「小笠原の海 4」水槽で展示しているニシキエビは、一番大きいものが体長50cmほどなので、まさに最大級です。これだけ大きいと、体のつくりもよく観察できますね。今回は脚に注目して観察してみましょう。

 エビやカニのなかまといえば、脚にハサミがある姿を思い浮かべませんか。ところが、ニシキエビの脚には目立ったハサミがありません。しかし、水槽で一番大きなニシキエビをよく観察すると、5番目(一番後ろ)の脚先がわずかに「チョキ」になっているのがわかります。この小さなハサミはメスのみに見られる特徴です。

尾に近い脚に注目!
小さな“チョキ”はこんな形(脱皮殻を撮影)

 ニシキエビを含むイセエビのなかまのメスは、卵を腹につけて守ります。孵化するまで1か月ほどかかるのですが、その間、腹にあるヒレのような器官(腹肢)をパタパタと動かして卵に新鮮な海水を送り、小さなハサミで付着したゴミなどを絶えず取り除きながら世話をするのです。オスにはこの小さなハサミはなく、他の脚と同じように先端がトゲ状になっています。

 水槽では岩陰などにかくれている場合もありますが、動き回っている時にじっくり見ていると脚先が観察できるかもしれません。そしてこれからの季節、もし食卓にエビのなかまが上ることがあったら脚の先をチョッキ……いえ、チェックしてみてください。

〔葛西臨海水族園教育普及係 堀田桃子〕

(2020年12月25日)



ページトップへ