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ニセゴイシウツボの二つ目の口!?
 └─2020/11/06
 葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「インド洋II」の水槽では、オニダルマオコゼとアカシマシラヒゲエビ、そしてニセゴイシウツボを展示しています。今回はこのニセゴイシウツボなどウツボのなかまの特徴を紹介します。

 ニセゴイシウツボは成長すると全長2m以上にもなる大型のウツボです。体の模様が黒い碁石を散りばめたような斑点模様に似ていることから、この名がつけられたと言われています。この斑点模様は成長するとともに小さくなります。


 じつは、ウツボのなかまには他の魚にはない特徴があります。それは、2つ目の口をもっているということです。

 コイやベラなどの魚はえさとなる獲物を海水ごと飲み込み、口の奥にある「咽頭顎(いんとうがく)」で噛み砕いて食道へ運びます。一方、ウツボのなかまはこのような魚とは違った方法でえさを飲み込みます。

 ウツボは鋭い歯を持つ第一の口で獲物を捕まえると、咽頭顎を筋肉の力で口まで伸ばします。そして獲物を咽頭顎で捕まえて喉の奥まで引きずりこみ、食道へと送り込みます。ウツボの咽頭顎は他の魚と異なり「可動式」になっていて、他の魚の口と同様、獲物を捕らえる役割をもつことから「第二の口」と言われるようになりました。


 この写真がウツボの骨格標本です。赤丸がウツボの咽頭顎です。

 水槽にいるニセゴイシウツボを観察しても二つ目の口を見ることはできませんが、鋭い歯をもつ第一の口は見えます。岩の間から顔を出していることがあるので、どのような口で獲物を捕らえているか、ぜひ観察してみてください。

 また、「第二の口」とよばれる咽頭顎の標本を「世界の海」エリアの「カリフォルニア沿岸」水槽横の情報パネルで見ることができます。

 今回はウツボをご紹介しましたが、他の魚もえさの食べ方によっていろいろな口の形をしています。ぜひじっくり観察してみてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 戸田遥香〕

(2020年11月06日)


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