ニュース
どうして水槽の中にゴミがあるの?──「東京湾 運河」水槽
 └─2020/09/25

 葛西臨海水族園「東京の海」エリアの「東京湾 運河」水槽では、私たちのくらしと海をつなぐ運河の環境を再現しています。運河とは、人工的に作られた水路のこと。人工的な場所に生き物なんていないと思うかもしれませんが、コンクリートの壁にはマガキなどの二枚貝が付着し、その隙間を利用するハゼのなかまやギンポのなかまなどがくらしています。


「東京湾 運河」水槽

 水槽をのぞいてみると、生き物以外にも砂の上のビニール袋やプラスチックボトルが目にとまります。スタッフが間違えて落としてしまったのでしょうか? いえいえ、この水槽では、プラスチックゴミのある東京湾の環境を再現しているのです。

 ペットボトルやビニール袋、食料品の容器などで活躍する、軽くて丈夫な使い捨てプラスチック製品。丈夫だからこそ、なかなか自然には分解されることなく、何百年も残り続けてしまいます。ボロボロになって小さくなると、回収することは困難です。さらには、生き物が誤って食べてしまうことも……。

 そもそも、私たちの生活で活躍しているはずの使い捨てプラスチック製品がどうして海の中のゴミになってしまうのでしょうか? わざとポイ捨てされたゴミもあるかもしれません。でもそれだけではないのです。みなさんも、あふれそうになった道路わきのゴミ箱や、台風の後に排水溝に集まったゴミ、散らかったゴミ捨て場などを見たことがあるのではないでしょうか。きちんとゴミ箱に捨てたつもりでも、軽いプラスチックゴミは風に飛ばされたり雨に流されたりして、川へ、そして海へとたどり着いてしまうことがあるのです。


ペットボトルの上に乗るマハゼ

 このようなゴミを減らすために、私たちにできることはあるでしょうか? たとえば、お気に入りのマイバッグやマイボトルを大切に使い、使い捨てプラスチック製品の使用量を減らすことも効果的な方法のひとつでしょう。

 水族園では、世界中の海の生き物を目にすることができます。目の前の東京湾は、そんな世界中の海とつながっています。「東京湾 運河」水槽をつうじて、生き物と私たちがずっとくらしていくために何ができるか、考えるきっかけになれば嬉しく思います。

〔葛西臨海水族園教育普及係 大河原陽子〕

(2020年09月25日)



ページトップへ