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孵化したメンダコ、飼育最長記録達成!(※12/15に死亡しました)
 └─ 2019/11/26(2019/12/16更新)

 こちらのニュースでお伝えしたとおり、葛西臨海水族園では深海性のタコの一種、メンダコが孵化しましたが、孵化した個体が飼育最長記録を達成しました! 今までの記録は沼津港深海水族館(静岡県沼津市)の7日間でしたが、今回この日数を超えました。

 なお、メンダコは生態が不明な部分が多く、孵化した個体の飼育はとても困難です。今後、メンダコの生態の一端を解明できるよう、慎重に育成しながら観察を続けます。

 孵化したメンダコは非公開のバックヤードで育成してきましたが、12月15日残念ながら死亡しました。生存は27日間でした。

孵化したメンダコ。2019年11月25日撮影
左と同カットのクローズアップ

孵化日  2019年11月17日(日)の夕方から翌18日(月)の朝にかけて

大きさ  全幅約10ミリ

飼育場所 葛西臨海水族園「繁殖センター」内水槽(非公開)

経緯   2019年5月7日(火)
      静岡県沼津市沖の水深約240~250mにおいて深海底曳き網漁により親個体を採集。
      親個体は当園の繁殖センター内の水槽で飼育開始(水温約12℃)。

     2019年5月26日(日)
      繁殖センター内の水槽から本館展示水槽「深海の生物 トピック水槽」へ親個体を移動。
      先に展示していたメンダコ1個体とともに、高感度モニターカメラによる2個体の映像展示を開始。

     2019年5月30日(木)
      朝、死亡を確認。解剖時に体内から卵を摘出し、繁殖センター内の水槽に収容。

     2019年11月5日(火)
      卵の摘出から161日後、卵の発生が進み、発眼していることを確認。

     2019年11月18日(月)
      朝10時頃巡回の際に孵化を確認。卵の摘出から173日後。

     2019年11月25日(月)
      孵化から8日目。飼育を継続中。

孵化した個体の状況
 解凍した冷凍動物プランクトンを与えたところ、摂食していると思われる行動が見られ、その後、排泄物も確認されました。


メンダコ成体

【参考】
 メンダコは頭足綱八腕目メンダコ科に属する動物です。学名は Opisthoteuthis depressa。成長すると全幅は20センチ程度になります。相模湾から東シナ海の水深200~600メートルの深海でくらしています。
 体は寒天質で扁平な形をしており、短い腕が特徴です。飼育がたいへん難しく、その生態は研究が進んでいません。とくに繁殖に係わる生態についてはほとんど知られていません。

(2019年11月26日)
(2019年12月16日:死亡について追記)


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