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水槽に落ちてくるボールの正体は?──シノノメサカタザメ
 └─2019/01/25

 葛西臨海水族園の中でいちばん大きい水槽は「大洋の航海者 マグロ」水槽。ドーナツ型をした水槽の中央正面にあるアクアシアターでは、クロマグロの群泳を見ることができます。アクアシアターを挟んで逆側には水槽が深くなった広いスペースがあり、中央にクジラの背中のような擬岩があることから「擬岩側」と呼ばれています。この擬岩側では、ハガツオやスマ、シノノメサカタザメなどを展示しています。


ボールを水槽に落とす作業

 擬岩側では数日に1回、水槽の上から“ボール”が降りてきます。しかし、ものの数分で引き上げられてしまいます。このボールはじつはシノノメサカタザメの給餌の合図です。ボールについていけばえさがもらえることを覚えさせているところです。

 シノノメサカタザメがボールに気づき近寄ってきたら、以前ご紹介した“くす玉”の登場です(くす玉を紹介した以前の記事はこちらをご覧ください)。くす玉を使うとえさを水槽の底面に撒くことができます。最初は得体の知れないボールを怖がって遠巻きに見ていたシノノメサカタザメですが、今では投入するとすぐに近づいてくるようになりました。


【動画】ボールが降りて来た後、えさの入った“くす玉”が降りて来てえさを放出する

 さて、どうしてえさの合図のボールを覚えさせる必要があるのでしょうか。それは、健康管理や治療などを直接おこなうためです。シノノメサカタザメに触れるためにいざ近づこうと思っても、広い水槽を泳ぎまわっているので、私たちが追いつけるはずもありません。そこで治療などがしやすい場所までボールを使って誘導するのです。

 また、ボールを見たらシノノメサカタザメがえさを食べるようすを観察するチャンスとも言えます。すばやく底面を這いながら、アジやカニなどを食べる姿を見ることができます。このボールは来園者の方々への観察時間の合図にもなるかもしれませんね。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 市川啓介〕

(2019年01月25日)


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