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天売島のウミガラス繁殖地にデコイを設置
 └─2018/09/28

葛西臨海水族園は環境省や地域と連携して、ウミガラスの保全活動に取り組んでいます。その取り組みの一環として、北海道北西部にある天売島の繁殖地にウミガラスのデコイ(模型)を設置しました。


崖のくぼみに設置したウミガラスのデコイ

 ウミガラスは日本では天売島のみで繁殖しています。1963年には約8,000羽が確認されましたが、その後急激に減少し、現在は日本の繁殖地が消滅する危機に直面しています。

 そこで、環境省が中心となり、デコイと音声による個体の誘引、卵やひなを襲うハシブトガラスなどの捕食者対策、繁殖状況のモニタリングが継続的に実施されています。その結果、近年は飛来数も繁殖数も増えており、繁殖エリアが広がっています。

 こうした近況を踏まえ、今回公益社団法人日本動物園水族館協会が実施する野生動物保護募金の助成を受けて新たに27体を製作し、老朽化したデコイを交換するとともに、拡大した繁殖エリアにもあらたに設置することになりました。

 繁殖地が地上約30メートル地点の崖のくぼみにあるため、実際のデコイ設置作業は熟練のロッククライマーがおこない、私たちは機材運搬や撤去作業を環境省の担当職員や天売島民などと協力しておこないました。

 設置したデコイの効果は来年以降の繁殖状況を見ないとわかりませんが、保全活動は地道な努力とこれに関わる方々の熱意、地元住民の理解があって初めて成り立ちます。葛西臨海水族園ではこうした取り組みを多くの方に知っていただけるよう、今後も活動を進めていきます。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 野島大貴〕

(2018年09月28日)


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