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JAMSTECの深海調査研究船「かいれい」体験乗船レポート
 └─2018/09/21

 2018年8月4日と5日、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)主催の第20回全国児童「ハガキにかこう海洋の夢コンテスト」入賞者を対象とした、深海調査研究船「かいれい」の体験乗船が開催されました。私は葛西臨海水族園の先輩とともに深海生物の解説担当として8月5日に乗船しました。

 体験乗船の目玉は、無人探査機「かいこう」システムを使用した深海調査です。「かいこう」システムは、ランチャーとビークルという2つの機械で構成されています。船体とケーブルで繋がるランチャーが、水の抵抗を受け止め機体を安定させます。そして、ランチャーから分離したビークルによって、重作業を必要とする海洋資源調査等を行うことができます。潜航地点までの移動中には、水族園スタッフによる深海の環境や、調査を行う駿河湾の代表的な深海生物の紹介をしました。
 

無人探査機「かいこう」システム。上部がランチャー、下部がビークル

 「かいこう」はおよそ75分で水深約1,000mの深海にたどりつきました。泥ばかりの海底で最初に出迎えてくれたのは、ワタゾコナマコのなかまでした。その後大きなサバをベイト(=餌)として海底に設置すると、においを嗅ぎつけたソコダラのなかまやホラアナゴのなかま、コンゴウアナゴらしき魚がやってきました。
 
着底地点にいたワタゾコナマコのなかま
設置したベイトに寄って来たホラアナゴのなかま

 子どもたちは「かいこう」の映し出す深海のようすに目を凝らすだけでなく、水深や水温などの記録も熱心にとっていました。また、「かいこう」のマニピュレーター操縦体験も行われ、操縦の難しさを実感したようでした。
 

マニピュレーター操縦体験

 今回の調査中、生物を掃除機のように吸い取る「スラープガン」という機械を巧みに駆使し、ワタゾコナマコとユメナマコを採集することができました。このユメナマコは水族園で8月8日から8月22日まで展示しましたが、これについてはまた別の記事で紹介します。

 「かいこう」浮上後、子どもたちは採集したナマコらを間近で観察し、どんな体をしているかスケッチもしました。また、水圧による変化を観察する「いろいろなものを沈める実験」の結果も確認しました。沈めたものは空のペットボトルのほか、こんにゃくやナス、粘土などです。縮んだもの、変わらなかったもの、深海では潰れていたのに元に戻ったものなど、それぞれの結果について予想通りだったか、なぜそうなったのか話し合いました。
 
ユメナマコとワタゾコナマコをじっくり観察
「いろいろなものを沈める実験」セット


 すべての作業が終わった後、1日を振り返った後で無事体験乗船は終了しました。「かいれい」への乗船の機会はなかなかありません。私も「かいれい」への乗船は初めての経験でした。興味のある方は、毎年小学生を対象として開催しているこの「ハガキにかこう海洋の夢コンテスト」に来年応募してみませんか?


体験乗船後の記念撮影
〔葛西臨海水族園飼育展示係 幅祥太〕

(2018年09月21日)


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