ニュース
貫禄たっぷりのシノノメサカタザメ
 └─2018/07/06

 先月2018年6月22日の記事でお知らせしたとおり、葛西臨海水族園「大洋の航海者」エリアの「マグロ」水槽でシノノメサカタザメの展示を始めました。シノノメサカタザメは和名に「サメ」がつくことからサメのなかまと間違えられることがありますが、エイの一種です。

 展示した個体は2017年9月にシンガポールのシー・アクアリウムで繁殖した個体です。水族園には2018年5月15日に到着しました。全長は1.3メートルほどで他の魚に比べるとかなり大きく、移動だけでも6人がかりとなり一苦労でした。ようすを見るために入れた裏側の予備水槽は少し小さいようではありましたが、個体の調子はよいようで、えさもたくさん食べていました。


 1か月間問題は見られなかったため、いよいよ展示水槽へ移すことにしました。しかし、展示水槽にはサバ科のハガツオとスマが群れで泳いでいます。この2種はちょっとしたことにびっくりしやすく、驚くとびゅんびゅんと泳ぎ回ってしまうことがあります。そのまま壁にぶつかると、最悪の場合、死んでしまうかもしれません。

 そんな心配をしながら移動させたシノノメサカタザメは、少しあわてるような行動は見られたものの、すぐに落ち着きました。また、広い水槽で泳ぐことができて、いっそう調子がよさそうです。ふだんは底の近くをゆっくりと泳いでいますが、ときおり中層を泳ぐこともあり、下から見上げるその姿はとても迫力があります。

 シノノメサカタザメは、体長最大3メートルにもなると言われる大型種です。今後順調に大きく育つかどうかは、私たちの腕の見せどころ。そこで、シノノメサカタザメに確実にえさを届けるため、くす玉式の道具を使うようにしています(道具を紹介した記事はこちら)。この道具を使えば、中層を泳ぐハガツオとスマにえさを横取りされる心配もありません。

 広い水槽でたっぷりえさを食べているので、見る見るうちに成長するかもしれません。悠然と泳ぐその姿をぜひ葛西臨海水族園でご覧ください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 市川啓介〕

(2018年07月06日)


ページトップへ