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隠れているクチバシカジカを探せ!──水槽での生き物の見つけ方
 └─2018/05/25

 葛西臨海水族園の水槽には展示生物を紹介するラベルがあります。でも、ラベルがあるのに生き物が見つからない!という経験をしたことはありませんか? そこで「世界の海」エリアの「カナダ西岸」水槽を例に、生物の探し方をご紹介します。


「世界の海」エリアの「カナダ西岸」水槽

 この水槽にはカナダ西岸の岩場にくらす生物がいます。岩の上にはピンク色の小さなイソギンチャクのなかまのストロベリーアネモネや、大きなフジツボのなかまのジャイアントエイコーンバーナクルが見えます。細長い体で泳いでいる魚はチューブスナウトです。こうした目立つ種類のほかに、水槽内には隠れている生物がいます。クチバシカジカという魚を探してみましょう。 


クチバシカジカを紹介するラベル

 クチバシカジカは北太平洋沿岸部に生息する全長8センチほどの小さな魚で、胸びれを使って歩くように移動する姿が印象的です。ラベルの写真を見ると、体の半分もある大きな頭がゴツゴツとしていて、まるで岩のように見えませんか? そこで岩そっくりなジャイアントエイコーンバーナクルに注目してみましょう。もしかしたら隠れているかもしれません。


ジャイアントエイコーンバーナクルとその殻に入るクチバシカジカ

 いました! 殻の中からひょっこりと顔を出しています。生きているジャイアントエイコーンバーナクルに色や形がなんとなく似ていると思いませんか? まわりの環境に色や形が似ているため、カモフラージュになる種がいます。いわゆる「擬態」です。じつはクチバシカジカは、フジツボへの擬態によって身を隠していると考えられます。

 クチバシカジカのように上手に隠れる生物を探すときには、色や形に注目し、どのような場所なら上手に身を隠せるか考えると見つけやすくなるかもしれません。その生物の視点に立って、隠れやすそうな場所を探してみてください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 石神まゆか〕

(2018年05月25日)


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