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「葛西」生まれの魚たち、チューブスナウトやビッグベリードシーホース
 └─2018/05/04

 葛西臨海水族園では多種多様な魚をたくさん飼育しています。魚が多ければ、毎日のように大から小まで、さまざまな事件や出来事が起こります。「ケンカでけがをした!」「怖がりなので他の個体といっしょにえさが食べられない!」など。そんな中、私たち飼育係にとってもっともうれしい出来事はやはり産卵や出産です。

 しかし、水槽は魚たちがふだんくらしている自然の海とはまったく違う環境です。飼育下では魚にとってくらしやすい飼育環境が維持され、個体が健康であって初めて産卵や出産の可能性が出てきます。

チューブスナウトの子どもたち
チューブスナウト成魚

 生息地の情報や過去のデータなどを参考にしつつ、とにかく住や食の面から水槽の環境を整えます。隠れ家が必要かどうか、光の量はこれでよいか、水流の状態はどうするか──整えるべき条件もさまざまです。

 条件が整い、えさをよく食べ、健康状態がよければ、あとはペアになるのを待つばかり……のはずですが、じつは「ペアになる」までが簡単ではありません。気が合うかどうか、それは当然魚たちしだい。飼育係はやきもきしながらただただ見守るばかりです。

ビッグベリードシーホースの子ども
ビッグベリードシーホース成魚

 そんな難関をくぐり抜け、この春もチューブスナウトやビッグベリードシーホースなど、数種類の魚たちの子が無事に誕生しました。生まれたての頃はプランクトンしか食べられなかったヒョロっとした体型の子どもたちも、今では細かくすりつぶしたゴカイやアサリなどを食べ、体つきもしっかりしてきました。もう少し大きくなったら、飼育係も一安心。それまであともう少し。気を抜かずに大切に育てていきたいと思います。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 増渕和彦〕

(2018年05月04日)


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