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サメ水槽での予期せぬ出来事──スミツキザメ誕生
 └─2018/03/30

 先週の出来事でした。2018年3月19日午後、いつものように「大洋の航海者 サメ」水槽の裏側で作業をしていると、マイワシの群れに混ざってなんと全長40センチほどのサメが泳いでいるではありませんか! 現在、水槽内で展示しているサメのなかまは、小さな個体でも100センチほどはあるのです。「何であんな小さなサメが? もしかして誰かが産んだ!?」。予想外の事態に大興奮しましたが、高ぶる気持ちを抑えてよく見ると、その特徴はスミツキザメのものでした。


生まれたばかりのスミツキザメ

 作業をいったん中断して展示側へ出ると、他のスタッフがあわてて「ビデオカメラ取ってくる!」と言って足早に去っていきます。「今産んでいる最中だったのか!」と思って水槽に目をやると、まさに3尾目の幼魚が生まれそうになっているところでした。その後多くのスタッフが集まってきて、来園者といっしょにこのようすを観察しました。撮影した動画をご覧ください。


【動画】生まれてすぐ泳ぎ出すスミツキザメ幼魚

 全部で4尾の幼魚が生まれ、どの個体もしっかりと泳ぎまわっていました。しかし、大きな水槽内ではうまくえさを食べられないかもしれないため、捕まえて裏側の水槽へ移すことにしました。まずは水槽の上から網で取ろうとしましたが、意外に素早く、逃げられてしまいました。そこで水槽に潜って捕まえ、無事に裏側の水槽に移動することができました。


水槽に潜って網で捕獲

 親のスミツキザメは、2017年9月末に水族園に来てからだんだんとお腹が丸くなってきていました。ただ、毎週火・木・土・日曜日のえさの時間にとてもよく食べていたので、太っているだけだと思い込んでいました。
スミツキザメについて調べてみると、「成魚は最大で全長100センチほどになる」「幼魚は全長28~38センチの大きさで生まれてくる」「胎生」「通常2尾の仔を産むが、例外的に最大4尾産むことがある」ということがわかりました。つまり、今回4尾の仔が生まれたことは珍しいことでもあったようです。


生まれ始めた幼魚。体がまだ膜に包まれ、へその緒のようなもので繋がっている

 妊娠期間がどのくらいなのかはわかりませんでしたが、展示水槽内で飼育している2尾はどちらもメスのため、おそらく水族園に来たときにはすでにお腹に幼魚がいたのでしょう。たくさんえさを食べられる環境にいたことで、例外的とされる4尾の幼魚が産めたのかもしれませんね。今後しばらくは裏側の水槽で飼育を続け、展示水槽で大きくなった姿をお見せできればと思います。

(追記)裏側の水槽へ移したスミツキザメの幼魚は、その後えさを食べ始めました。また、泳ぐ力も十分にあり、広い水槽で飼育したほうがよさそうなので、展示水槽に戻しました。現在、4尾が水槽内を泳ぎ回り、大きなサメといっしょにえさを食べています。元気に泳ぎまわる幼魚たちを葛西臨海水族園でぜひご覧ください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 幅祥太〕

(2018年03月28日)
(2018年04月10日追記)


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