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キングジョージ島調査採集レポート[3]
 └─2018/02/26

 キングジョージ島ではスクーバダイビングで生物採集をおこっています。ダイビングのときには「ドライスーツ」という、体が濡れないしくみの潜水服を着ています。顔と手は濡れてしまうのですが、分厚いフードとグローブをして、寒さに備えています。

南極の海で採集するときの装備
藻溜まりでの採集のようす

 生物の採集にはおもに手網を使います。藻溜まりでは2本の手網でダスキーノトセンが隠れている藻を挟み込むようにして採り、岩場では岩の隙間にいるアンタークティックスパイニープランダーフィッシュを指で網のほうへ追いこみます。

 それらを「採集ビン」と呼ぶフタつきのプラスチックボトルに入れますが、生物を入れたらフタをすばやく閉めなければなりません。このとき、分厚いグローブをしているとうまく手が動かせないので、しっかりとフタを閉めるのもなかなか大変です。しかし、海の水温は1.0℃を下回ることもあるため、素手だと1分も経たずに手がかじかんで動かなくなり、採集どころではないため、この分厚いグローブは必須です。

 1回の潜水採集は40分ほどです。海の中で作業をしているとジェンツーペンギンが周りを泳いでいることがあります。私たちが何をしているのか興味があるようです。

 分厚いグローブをしていてもさすがに陸上に戻ってくるころには手はかじかみ、感覚がなくなっていますが、採集した生物が入っている採集ビンを見ると、どうやってその生物と南極の環境を展示で再現しようか楽しみになってきます。

 次回は採集生物を現地でどうやって「蓄養」(一時的な飼育)をするのかについてお伝えします。

・これまでの記事
キングジョージ島調査採集レポート[1]
キングジョージ島調査採集レポート[2]

〔葛西臨海水族園飼育展示係 小味亮介〕

(2018年02月26日)


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