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新年バンザイ、真冬のチゴガニのウェイビング
 └─ 2018/01/27

 写真をご覧ください。新年早々、おめでたく「バンザイ」しています。真冬のいま、葛西臨海水族園「東京の海」エリア2階の「葛西周辺のカニ」水槽ではチゴガニのバンザイする姿が見られます。


 チゴガニは、宮城県以南の泥干潟にすむ甲幅1センチほどのスナガニのなかまで、干潟に巣穴を掘ってくらしています。野外では、春から夏の終わり頃まで、潮の引いた干潟でハサミをリズミカルに振り上げ、バンザイにも似た「ウェイビング」と呼ばれる行動をします。

 あたり一面数百尾を超えるチゴガニの大群がいっせいにウェイビングする光景は圧巻です。しかし、寒い冬は地中の巣穴で冬眠し、暖かい春が来るのを待ちます。ちなみに、このウェイビングはおもにオスがおこない、メスに対する求愛行動と考えられていますが、本当の理由はわかりません。

 毎年このカニ水槽でも、野外と同様にチゴガニが春から夏まで盛んにウェイビングし、秋に地中にもぐって姿が見えなくなります。しかし、秋の終わり(11月頃)から徐々に姿を見せ始め、真冬の新年を迎える頃から再びウェイビングする個体が増えてきます。

 野外であれば冬眠する季節に巣穴から出て活動し、しかもウェイビングをおこなうのは、飼育下である水槽内で空気と泥の中を意図的に暖めているからです。

 本来冬眠中の季節に活動してもらうのはチゴガニに少し申し訳ありませんが、今年も新年からおめでたい?ウェイビングをお楽しみください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 田辺信吾〕

(2018年01月27日)


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