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続・新たな視点で見てみると(59)水族園の周辺にくらす発光生物[1]──ウミサボテン
 └─2016/07/01

 葛西臨海水族園の「東京の海」エリア2階にある、目の前の渚とその先の東京湾コーナー「葛西の海1」水槽では、水族園の周辺にくらす生き物を展示しています。この水槽に、砂の上に立つ姿がトゲの生えたサボテンのようにも見えるウミサボテンが2016年5月から仲間入りしました。


ウミサボテンはサンゴやイソギンチャクに近縁な生物で、表面を小さなポリプが覆っている

 このウミサボテンは、水族園の沖に広がる浅瀬「三枚洲」をこの春調査したときに採集しました。ふだんは遠浅な海の三枚洲ですが、潮がよく引く大潮の干潮時には広大な干潟が海上に出現し、歩いて調査することができるのです。


網やスコップを持って干潟を調査。奥には東なぎさと水族園のドームが見える

 ウミサボテンはダイバーにはけっこう知られた発光生物で、私も夜間のダイビングの際、そっと刺激して光らせたことがあります。ときに波打つような光を繰り返し、派手に発光するウミサボテンですが、光る理由はよくわかっていないようです。

【動画:水槽内のウミサボテン】
明るい時間にウミサボテンが体を伸ばしていることは珍しい。暗くなって体を伸ばしていくシーンは
2時間分のタイムラプス映像。棒などで刺激与えるとポリプが緑色に光る

 じつはこのウミサボテン、水槽照明などで明るい開園中は体を縮めてしまって、砂の上に見えている部分は1~2センチ程度ということが多いのです。ポリプを広げている姿をなんとか展示するために現在試行錯誤中です。申し訳ありませんが、展示がうまくいくまでは、サボテンのように伸びている姿が見られたらラッキー!という気持ちで「東京の海」エリアの2階に気軽に足をお運びください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕

(2016年07月01日)


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