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チョウクラゲ初展示! その観察ポイントは?
 └─2016/06/03

 葛西臨海水族園の「東京の海」エリア1階に「チョウクラゲ」を展示しました。水族園では初の展示です! 日本では東北以南の表層に見られるクラゲで、傘の表側中央部から袖状突起(後出)までが約10センチほどの大きさまで成長します


 チョウクラゲの観察ポイントその1は、名前の由来にもなっている泳ぎ方です。チョウクラゲには光があたると虹色に輝いて見える部分がありますが、そこには「櫛板」(くしいた)と呼ばれる微小な板のようなものがあり、ふだんはこれを動かして漂うように泳いでいます。しかし刺激を受けると、口の両横に袖のように大きく広がって伸びた部分(袖状突起[そでじょうとっき])を使ってすばやく泳ぎます。そのようすがチョウの羽ばたきに似ていることから、チョウクラゲと名づけられたのです。

 観察ポイントその2は、えさの捕まえ方です。チョウクラゲは、クラゲのなかまですが毒がありません。クラゲのなかまには2つのグループがあり、常設展示をしているミズクラゲは刺胞動物門というグループに属しています。刺胞動物門の動物は触手に毒針を出すことのできる器官(刺胞)をもち、毒を使ってえさを捕まえています。

 一方チョウクラゲは有櫛(ゆうしつ)動物門というグループに属しています。毒針の代わりに、袖状突起の中の粘膜でえさを捕まえます。水族園ではイサザアミという甲殻類を与えていますが、給餌の際にはチョウクラゲが粘膜でえさをからめとり、口に運んで食べるようすがよくわかります。

 チョウクラゲたちは最初水面に浮いてしまい、観察しにくかったのですが、えさの大きさを変えたり、光の強さを調節したり、水流の強さを変えたり、試行錯誤の末、やっと水槽全体を泳ぐようになりました。ふわふわ漂っているおとなしいクラゲかと思いきや、突然羽ばたくように速く泳いだり、えさを見つけると大きく袖状突起をひろげてたくさんのえさを捕まえたり、“観察しがい”のあるクラゲです。

 長期間の展示がむずかしいクラゲなので、今だけ期間限定の展示です。この機会にぜひ、実際に泳ぐ姿をごらんください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 太田智優〕

(2016年06月03日)


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