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似ているようで違うウミガラスとエトピリカのえさの捕り方
 └─2016/03/18

 葛西臨海水族園「海鳥の生態」エリアで飼育しているウミガラスとエトピリカの2種は、ペンギンと同じく海にくらす鳥類で、空を飛ぶより水の中に潜るのがとても得意です。水族園では潜水行動をうながすために1日2回、11:45と16:00に水中にえさを投げ入れています。


 2種とも水中ではおもに翼を使って泳ぎます。ただし、同じ場所にとどまったり、底に落ちたえさを拾ったりするときには足も使います。そんな泳ぎ方を見ると、ウミガラスもエトピリカも似ているように見えますが、よく観察すると大きな違いがあります。

 まず、ウミガラスの方が水中での機動性が優れていると言えるでしょう。それには体重も影響しています。ウミガラスが約1キロ、エトピリカが約800グラム。約 200グラムの差がありますが、動物は体が重いほど深く長く潜れると考えられています。

 ウミガラスはすばやく広い範囲を動き回ってえさを捕まえますが、エトピリカは比較的狭い範囲にとどまり、近くにあるえさを利用します。また、プールの底に落ちたえさを捕りに行くのはウミガラスの方が多く、潜水時間が長いのもウミガラスです。

 なお、くちばしの形や繁殖期のひなの育て方が捕食行動に影響を与えるとも考えられていますが、詳しいことはわかっていません(ウミガラスの育雛についてはこちらのニュースをごらんください)。

・「ウミガラスの子育て事情」(2015年9月4日)

 このように、水に潜る鳥でも捕食時の行動は異なります。投げ入れるえさの種類や量だけでなく、どう工夫すれば海鳥たち本来の行動を来園者の方々に見ていただけるか、日々試行錯誤を繰り返しています。

 「海鳥の生態」エリアのプールは水深約 2.4メートルです。水面近くにいてもあっという間にプールの底に到達するウミガラスとエトピリカを見ると、彼らの潜水能力がわかります。ぜひ、えさの時間にお越しください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 野島大貴〕

(2016年03月18日)


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