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ペアで登場、アカハチハゼ
 └─2016/03/04

 葛西臨海水族園「東京の海」エリアの「小笠原の海1」水槽に、アカハチハゼのオスとメスのペアを展示しました。ぱっと見てオスとメスの区別がつきにくいのですが、お腹側にある総排泄孔の形が細くて長いほうがオス、丸くて短いほうがメスです。アカハチハゼはサンゴ礁域の浅い砂底にすむ全長15センチほどになるハゼ科の一種で、日本では小笠原、八丈島、琉球列島などに分布しています。


 和名はアカハチハゼですが、頭部は黄色ですし、頬に青い線が入っており、なぜ「赤鉢」という和名がついたのか外見では想像できません。死んだときに頭部が赤くなる、または、八重山の伝統舞踊の衣装に見立てたなどの説があるようです。英語では bluestreak goby(青筋ハゼ)と呼ばれており、こちらはまさしく見たままです。

 アカハチハゼを観察していると、体の下から白い粒々をブワッとまきながら泳ぐ行動が見られます。「卵を産みながら泳いでいる!」という方もいらっしゃるのですが、これはじつはアカハチハゼの食事風景なのです。アカハチハゼは砂の中にいる微小な甲殻類のカイアシ類や有機物をこしとって食べるので、「フィルターフィーダー」、つまり、「濾過食性者」と呼ばれています。白い粒々は餌をえらでこしとったから捨てた砂なのです。

 もう一つアカハチハゼの特性として、石の下のサンゴ礫などを運び、ペアで巣穴を作ることが知られています。あらたに展示したペアもバックヤードで飼育しているときは2匹で協力しながらせっせと巣穴作りにはげんでいました。展示後も巣穴を作ってくれるかな……と期待していたのですが、まだ環境に慣れないのか、巣穴作りは見られていません。口を器用に使い、ペアで巣穴を作るようすをお見せできるよう、よりよい環境を作っていきたいと思います。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 太田智優〕

(2016年03月04日)


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