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南極レポート2016[4]生物の調査採集
 └─2016/02/26

 長い航海を終え、葛西臨海水族園南極調査チームはキングジョージ島に到着しました。この島は南極半島先端近くに位置しており、さまざまな国の観測基地があります。真夏の今でも気温は0℃前後で、晴れ間が見えたと思えば強風が吹き、吹雪に見舞われます。どうやら南極の天気はとても変わりやすいようです。

 この島では、我々はチリ南極研究所(INACH)のエスクデロ基地に滞在しています。到着後、基地長と採集の打ち合わせをの後、採集機材等の準備をおこないました。


潜水採集のようす

 翌日、さっそく潜水採集をおこないました。われわれは低温に耐える潜水用のドライスーツを身にまとい、海に入りました。水に顔をつけた瞬間、顔中が痺れ、こめかみのあたりに痛みが走ります。それもそのはずで、水温は 0.9℃しかありませんでした。

 海に潜ると、水深約5メートルまではあまり生物がいません。浅いところは流氷が海底を削るため、生息に適さないのです。しかし、丹念に岩の裏を探すと、石にそっくりな体色をした魚が顔を出します。この魚は「アンタークティックスパイニープランダーフィッシュ」という名前で、姿かたちは日本の川でも見られるカジカを連想します。


採集したグリプトノートゥスアンタルクティクス(中央)とノトセニアのなかまのダスキーノトセン(左)

 水深10メートルまで進むと、砂地の海底のところどころにパッチ状の海藻が見えます。そっと海藻をどかすと、巨大な等脚類「グリプトノートゥスアンタルクティクス」が海底の砂に頭を突き刺していました。大きさは体長10センチほどで、発達した脚をもつ、なかなか見ごたえのある生き物です。

 海藻の縁辺部を注意深く見ていると、数種類の魚が確認できました。これらはノトセニアのなかまで、南半球、とくに南極海に多く見られる魚です。泳ぎはあまり速くないため、簡単に網に入ってくれました。

 採集に夢中になっていると唇の感覚が完全になくなってしまいました。南極での潜水は20分が限界です。陸に上がったらすぐに海水を張ったクーラーボックスに生物を移します。数えて見ると、10種類ほどの生物を採集することができました。

 さて、採集できた生物を今度は日本へ送ることになります。そのようすは次回の記事でお伝えします。

南極レポート2016[1]出発直前情報
南極レポート2016[2]中継地点プンタアレナス
南極レポート2016[3]南極到着! 海軍貨物輸送船でプンタアレナスからキングジョージ島へ
・南極レポート2016[4]生物の調査採集
南極レポート2016[5]生物を輸送する
南極レポート2016[6](最終回)そして展示へ

〔葛西臨海水族園調査係 松村哲〕

(2016年02月26日)


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