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大きな緑色のイソギンチャクの展示
 └─2015/12/04

 葛西臨海水族園で大型の褐藻類(コンブのなかま)のジャイアントケルプを展示している「海藻の林」の水槽では、岩の上に緑色をしたイソギンチャクがいくつか見られます。その色鮮やかな緑色は、黒や茶色など、比較的地味な体色をした魚が多くいる水槽の中では一層きれいに見えます。


 このイソギンチャクは「ジャイアントグリーンアネモネ」と呼ばれ、太平洋東岸のアラスカからパナマにかけて分布する大型のイソギンチャクです。体の高さは約30センチ、直径で約25センチにもなり、飼育下では30年以上も長生きした例が知られています。岩礁域をはじめ、港湾などいろいろな場所で見られます。

 水槽にいるジャイアントグリーンアネモネの多くは昨年(2014年)、カナダのバンクーバー島で採集した個体です。搬入してしばらくは鮮やかな緑色を維持していましたが、環境が急に変わったためでしょうか、時間が経つにつれて次第に緑色が薄くなる個体が出始めました。しかし最近、水槽の条件がイソギンチャクの生育に合ってきたようで、元通りの色味が見られるようになってきました。

 この色の変化はジャイアントグリーンアネモネの体の中に理由があります。じつはイソギンチャクの体内には小さな藻類がたくさんすみついていて、この藻類が鮮やかな緑色を作り出しているのです。藻類は光合成をして生きていくために適した光が必要で、光が充分あたらない場所にいるイソギンチャクの体色は白っぽくなります。波に揺れる海藻の林でくらす色鮮やかなジャイアントグリーンアネモネをご覧ください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 笹沼伸一〕

(2015年12月04日)


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