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続・新たな視点で見てみると(53)じつは生き物です──ホシズナ、タイヨウノスナ、ゼニイシ
 └─2015/08/14

 この夏、沖縄方面へ旅行に行った、または行く計画があるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。沖縄でみやげ物屋をのぞくと、小さなビンなどに入った「星砂」が売られているのをよく見かけます。私も幼少の頃、親にねだって買ってもらいました。


海藻に着生するホシズナ、タイヨウノスナ、ゼニイシ

 水族園のファンの方ならご存知かもしれませんが、じつはこの星砂、ある生き物の殻なのです。その名もホシズナ。有孔虫と呼ばれる生物の一種で、本体はアメーバのように柔らかいのですが、特徴的な形の石灰質の殻を作って暖かい浅い海にくらしています。星型のとげの先端には穴が開いていて、そこから偽足と呼ばれる糸のような器官を出してえさを捕ったり、海藻などへに付着したり、移動に使ったりしています。


ホシズナ。拡大してみると表面には複雑な模様が見える


タイヨウノスナ。丸い本体から短いとげが出ているようすが「太陽」に見える?


ゼニイシ。小さな「部屋」が増えていくことで成長していく

 今回は、「生きている星砂」を実感できるように、ホシズナの移動を撮影するつもりだったのですが、後から調べてみると、ホシズナはあまり移動しないらしく、いっしょに水槽に入れていたタイヨウノスナが移動するようすが撮影されました。タイヨウノスナもホシズナと同じような場所に生息する有孔虫で、お土産の星砂にもよく混じっています。また、世界の海エリア「インド洋」水槽で展示しているゼニイシも同じく有孔虫のなかまです。ゼニイシはよく移動するので、ゼニイシが移動する映像もごらんください。

◎動画:タイヨウノスナとゼニイシが移動するようす。タイムラプスという時間を短縮する方法で
撮影。複数個体が映っているシーンの10秒は実際の150分、アップのシーンの10秒は実際の50分

〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕

(2015年08月15日)


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