ニュース
週刊マグロニュース[2]新入りクロマグロたちへの給餌
 └─2015/07/04

 はるばる高知県から葛西臨海水族園まで搬入されたクロマグロたち。魚たちは輸送で体力を消耗し、一部の魚の体表には「擦れ」によって傷もできていました。

 こんなときはできるだけ早く新しい水槽環境に慣れさせ、えさを食べさせて体力を回復させるのがセオリーです。2015年5月に水槽に入れたハガツオとスマ、そしてそれ以前からいる大型のクロマグロ1尾──これらの魚たちはいきおいよくえさを食べています。その中で、まだ環境やえさに不慣れなクロマグロに給餌するのは、じつは結構むずかしいのです。

 あたらしく搬入されたクロマグロは水槽の底の方を泳いでいます。そこにえさが届くよう、えさの量とタイミングを調整する必要があります。しかし、マグロやカツオのなかまは、底に落ちてしまったえさは食べません。そのため、投入したえさが底に落ちてしまわないよう、絶妙な与え方が要求されるのです。水槽の中には複雑な水流もあるため、えさの与え方はさらに困難になります。

 今週、給餌方法にかなり工夫をこらしたのですが、えさが底に落ちてしまったこともありました。そんなときに活躍してくれたのがアカシュモクザメです。水中のえさだけでなく、底に落ちたえさも食べてくれます。えさが残ると水質を悪化させるため、アカシュモクザメのおかげでとても助かりました。

◎給餌のようすを動画で撮影しました(2015年7月2日、葛西臨海水族園職員撮影、32秒)

 また、お伝えしたとおり、クロマグロがいる水槽のアクリル面には黄色いテープを格子状に貼りました。水槽に不慣れなマグロたちがアクリル面に衝突しないよう設置したものです。クロマグロたちは徐々に水槽に慣れ、えさも食べ始めているので、7月1日には衝突防止テープのうち水平方向に走る1本をはがしました。今後、魚の状態を見ながら徐々にはがしていく予定です。

前回の週刊マグロニュース[1]はこちら

〔葛西臨海水族園飼育展示係 杉野隆〕

(2015年07月04日)


ページトップへ