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男たちの熱い視線、プレイスの場合
 └─2015/06/19

 関東もいよいよ梅雨に突入し、はっきりしない天気が続いて気分も心なしかモヤモヤする今日この頃。

 葛西臨海水族園ではそんなモヤモヤ気分を吹き飛ばすくらいホットな生物が登場しました。その名は「プレイス」。「世界の海」エリアの「北海」の水槽で展示しているカレイのなかまです。このプレイスの何がホットかというと繁殖行動がホットなのです。


平常時のプレイス

 今月6月のある朝。私はいつもどおり、水槽の展示生物をチェックしていました。数日前から腹部の大きくなってきていたプレイスのメスがいたのですが、この日はさらにその腹部が大きくなっていました。抱卵にしてはちょっと大きすぎるかな、とも思いましたが、その後の観察でも行動に異常はありません。日中は餌もしっかり食べていました。

 夕方近く、ふたたび水槽を覗いてみると、腹部の大きな個体を先頭にして、その後ろに数尾のプレイスがひしめき合っていました。後ろにいるプレイスたちはどうやら皆オスのようで、メスが卵を産む瞬間に放精しようと待ちかまえているようでした。


メスの産卵を待ち、熱い視線(?)を送るプレイスのオスたち

 さらに観察を続けると、オスたちが位置を微妙に変えているのがわかりました。どうやら放卵の瞬間、いちばんに飛び込んで放精するのに最適な場所を確保しようと、押したり引いたりしながら牽制しあっているようでした。

 ふだんはじっと砂に潜っているプレイスも、このときばかりはヒートアップしているのでしょう。1匹のメスを熱く凝視するオスたちを見ていると、同じ「オス」として応援せずにはいられませんでした。

 卵質のよい受精卵が採れたら、稚魚の育成にもチャレンジするつもりです。首尾よくいったら、またご報告します。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 増渕和彦〕

(2015年06月19日)


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