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出たり引っ込んだり、オレンジシーペン
 └─2015/06/05

 葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「カナダ沿岸」水槽でオレンジシーペンを展示しています。オレンジシーペンはウミエラという刺胞動物のなかまで、その姿形はウミエラの名前のごとく、魚のエラにそっくりです。しかし、このシーペンという英名が示すように海底に羽ペンが突き刺さっているようにも見えます。また、この刺胞動物のなかまには他にクラゲやイソギンチャク、サンゴなどがいます。


まだまだ小さなオレンジシーペン

 オレンジシーペンはアメリカ西海岸のアラスカから南カリフォルニアの水深およそ10メートルから 230メートルぐらいまでの砂泥に群れて生息しています。最大でおよそ体長50センチまで大きくなりますが、展示しているオレンジシーペンは体長2〜3センチ程度のまだまだかわいいもので、水族園の職員が今年(2015年)2月にカナダで採集してきた個体です。

・「冬のカナダの大自然と採集と──バンクーバーでの採集行」(2015年2月13日)

 鮮やかなオレンジ色の羽のような体にはイソギンチャクのようなポリプがたくさん並んでおり、流れてくるプランクトンなどをこのポリプで捕まえて食べます。

 オレンジシーペンは危険を感じたりすると砂の中に隠れてしまいますが、水槽にいるオレンジシーペンもときには2〜3日間、潜りっぱなしでなかなか出てこないときもあります。

 自然の海では、天敵となるある種のヒトデに触れられると、発光してから砂に潜るそうですが、それ以外の種類のヒトデに触れられても光らず、砂に潜るだけだそうです。光によって、周りのなかまに天敵が来たことを知らせているのでしょうか。いつかこの光る様子を見てみたいものです。

 ウミエラのなかまの多くは夜行性ですが、このオレンジシーペンは昼間でも見ることができます。以前は深海の水槽で展示していましたが、明るくても砂の上に出てくるので、今回、カナダ沿岸の水槽で展示してみました。

 水槽の中で流れに向かってめいっぱい体を広げ、餌を獲ろうとするオレンジシーペンの姿をぜひ見に来てください。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 小味亮介〕

(2015年06月05日)


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