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ウミヅキチョウチョウウオを展示しました
 └─2014/12/19

 葛西臨海水族園の「東京の海」エリア「小笠原1」水槽で、2014年11月26日からウミヅキチョウチョウウオの展示を始めました。日本では千葉県以南の岩礁やサンゴ礁で見られ、成長すると全長20センチほどになります。幼魚はサンゴのポリプ(石灰質の骨格上に並んでいる小さなイソギンチャクのような部分)をおもに食べ、成魚は底にすむ小動物なども食べます。



 チョウチョウウオのなかまには、サンゴのポリプを好んで食べるものも多く、一般に、他の餌で飼育することが難しいとされています。展示したのは10月上旬に小笠原で採集した個体です。成魚なので、しばらくすれば餌を食べるようになるだろうと思っていましたが、とても苦戦しました。

・小笠原での採集調査についてはこちらの記事もご覧ください:「苦戦した小笠原での調査・採集」(2014年10月24日)

 臆病なのか水槽の隅でじっとしていることが多く、餌を入れても近づいてきません。そこで、隠れ家となる塩ビパイプを入れ、暗幕で水槽の周りを覆うなど、まずは落ち着ける環境を作りました。また、餌も工夫し、生きたアサリを殻を割って与えたり、サンゴの骨格にサクラエビなどを細かくして塗ってみたり、石についたままの小さなイソギンチャクを用意したり、いろいろと試しました。その結果、食べる瞬間はなかなか観察できませんでしたが、餌が減っていることを確認し、展示できるようになりました。

 展示水槽に入ったウミヅキチョウチョウウオは、他の魚の勢いにやや押され気味ですが、少しずつ他の魚に混じり、餌を食べているところも確認できるようになりました。

 ウミヅキは漢字で「海月」と書きます。青白い色で縁取られた黒い模様と腹側の線模様が海に浮かぶ月を連想させ、そう名付けられたのだろうといわれています。趣深く美しい模様のウミヅキチョウチョウウオがデビューし、水槽の中は一段と明るくなりました。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 戸村奈実子〕

(2014年12月19日)


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