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クロマグロが陸上水槽内で産卵! 5年ぶり4回目
 └─2014/07/30

 葛西臨海水族園では、園内の大水槽(約2,200t)で飼育されているクロマグロが、5年ぶり4回目の産卵をしたことが確認されました。

産卵確認日

 2014年7月17日(木)、24日(木)、27日(日)

今回の状況

 2014年7月17日、24日および27日の14時30分の給餌の後に、1尾のメスの後を数尾のオスが追いかけ、速い速度で泳ぎながら産卵・放精するようすが観察されました。
 その後も、追尾行動や放精は確認されています。今後も産卵が続くことが期待されますので、目の前でクロマグロの産卵を観察することができるかもしれません。

これまでの産卵確認

 当園では、1999年8月2日に、陸上の水槽内でのクロマグロの産卵に成功しました。1999年当時、本種の海上のいけすでの産卵例はありましたが、陸上水槽での産卵成功は世界で初めてのことでした。その後、2008年、2009年にも産卵が確認され、今回が5年ぶり4回目になります。

産卵確認の意義

 クロマグロは大型の魚類で遊泳速度も速く、また大変神経質なため、飼育すること自体が困難な魚ですが、当園では、クロマグロを飼育展示しながら、さらにその生態を解明するため、繁殖に関する基礎的研究に取り組んできました。
 クロマグロが産卵に至る環境条件が明らかでない中で、当園では水槽飼育であることの利点を生かし、飼育水の水温・水質や人工照明などのコントロール、飼育魚の年齢集団管理などの工夫を続けてきました。今回を含め4回の産卵確認は、このような長期的な工夫によるもので、当園のマグロ飼育の成果のひとつと考えられます。

得られた卵について

 今回の産卵で得られた卵から、クロマグロ仔魚の孵化を確認しています。ただし、マグロ仔魚の育成は技術的に困難が多いため、生きた仔魚を展示する予定はありません。

 なお、過去のクロマグロの卵の標本や産卵のようすは、2015年3月まで開催中のマグロをテーマにした特設展「こちら 葛西まぐろ村」でご覧になれます。

参考情報

クロマグロについて
分 類:スズキ目サバ科
分 布:日本各地の沿岸、北太平洋に広く分布
生態等:野生では、全長3m、重量300kgを超す個体もある。最高遊泳速度は時速80kmに達するとされている。
    流通名はホンマグロ。スシネタ、刺身のトロや赤身として、高額で取引されている。
    現在、クロマグロ資源の減少が世界的に危惧されている。

当園での飼育数(2014年7月24日現在)
 クロマグロ1歳魚から4歳魚は、計90尾。そのほかに、スマ約80尾、ハガツオ約20尾が同居。


【関連ページ】
◎過去の記事
クロマグロの追加と開園25周年記念のメジもなか(2014年6月20日)
続・新たな視点で見てみると(12) 2009年もクロマグロの産卵に成功!(2009年8月21日) ※映像あり
続・新たな視点で見てみると(6) クロマグロの「孵化直後〜稚魚」(2008年10月10日) ※映像あり
続・新たな視点で見てみると(5) クロマグロの「受精卵〜孵化の瞬間」(2008年9月5日) ※映像あり
続・新たな視点で見てみると(1) クロマグロの産卵行動(2008年6月13日) ※映像あり
クロマグロ9年ぶりに産卵(2008年6月10日)

◎クロマグロの紹介動画
葛西臨海水族園開園25周年スペシャルサイト「『25』の生き物」 ※クロマグロの過去の産卵映像あり

◎マグロ関連のイベント
開園25周年記念特設展「こちら 葛西まぐろ村」(期間:2014年7月24日~2015年3月10日)
8/24 講演会「マグロのくらしを追う研究者たち」参加者募集(締切:2014年8月9日)


写真上:2008年のクロマグロ産卵のようす
写真下:孵化したばかりのクロマグロの仔魚(全長約3mm)(2014年7月18日撮影)

(2014年07月30日)



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