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荒海で「ユウゼン」調査
 └─2014/07/11

 ただ今、私たちはユウゼンの生態調査のために小笠原諸島に来ています。
 ユウゼンは、八丈島から小笠原諸島を主な分布域とする日本固有のチョウチョウウオ科魚類で、小笠原諸島を代表する魚のひとつです。葛西臨海水族園東京の海エリアでは複数の水槽で展示しており、ユウゼンの安定的な飼育展示に成功しています。

 ユウゼンは、ほかのチョウチョウウオのなかまとは一線を画すシックな体色や、多数の個体が群れをなしてユウゼン玉を形成する特殊な生態などからダイバーやアクアリストに人気が高く、チョウチョウウオのなかまでは知名度が高い種です。しかし、自然での生態についてはほとんど研究がおこなわれていないため、不明な点ばかりです。

 葛西臨海水族園では、この魚の謎を明らかにすべく、2012年から小笠原諸島兄島滝之浦湾にてフィールド調査を進めています。今まで捕まえた個体には標識等をつけ、同じ個体を追跡調査することによって少しずつその生態の一端が分かってきました。

「小笠原でユウゼンの生態調査を始めました」(2012年11月02日)

 今回の調査でも「よりユウゼンの謎に近づくぞ!」という意気込みで快晴の小笠原に降り立ったのですが、遠く離れた台風8号の影響で、調査区内は激しいうねりと濁りに見舞われています。各地に甚大な被害を与えている台風8号ですが、その余波は東京から約1000キロ離れたここ小笠原まで届いています。今回はうねり、濁りと戦いながらの厳しい調査になりそうです。

写真上:台風8号の影響で荒れる小笠原の海
写真下:シックな体色のユウゼン

〔葛西臨海水族園調査係 松村哲〕

(2014年07月11日)



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