葛西臨海水族園の「ペンギンの生態」展示場では、毎日10:30と15:00の2回、ペンギンたちへの給餌とペンギンについての解説をおこなっています。
ふだんはのんびりとした動きのペンギンたちが、餌の魚をめがけて水中を勢いよく泳ぎ回る姿は圧巻です。
また、この時間に陸の方に目を向けてみると、水中の泳ぎとは別のフンボルトペンギンたちの面白い行動を見ることができます。
フンボルトペンギンのつがいは、決まった巣の中で卵を産み、ひなを育てます。現在、水族園ではほとんどのつがいが卵を温めています。雌雄で協力しながら交代で卵を温める彼らは、給餌の時間にもオスとメスが交代でやってきます。ところが、巣をほかのペンギンに乗っ取られる心配などがないためか、中には空腹のあまり、ともに巣を離れて魚を食べにやってきてしまうつがいもいます。
困ったものですが、決して長い時間卵をほったらかしにしているわけではありません。給餌が始まるギリギリまで巣の中で卵を温め、給餌開始とともに巣穴から駆け出してきてプールに飛び込み、魚をお腹に詰め込むと急いで陸に上がり、また走って卵のある巣へと帰っていくのです。つい見逃してしまいそうなこうした行動も、理由を知って見ると興味深く面白いものです。
大切な卵と空腹との間で気持ちが揺れるフンボルトペンギンたちは、約40日間もこうして卵を温め、さらに約3か月間ひなを育てることにいそしみます。彼らの辛抱づよさを私も見習いたいものです。
写真:餌の時間だ、急げ!
〔葛西臨海水族園飼育展示係 山本達也〕
(2014年05月30日)
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