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フェアリーペンギンの性格が変わった?
 └─2013/09/27

 フェアリーペンギンは、ペンギン17種の中で最も小型で、臆病な性格のペンギンです。体が小さいため、野生下では外敵に狙われやすいことから自然に身に付いた性格なのでしょう。

 葛西臨海水族園で飼育しているフェアリーペンギンたちも、例外なく臆病者ぞろいです。ところが、そんな彼ららしからぬ大胆な行動が最近しばしば見られるようになりました。

 これまでは、人から離れた場所が落ち着くようで、時には岩場の裏に隠れてしまうことも多くありました。しかし、最近では観覧通路近くの岩場で寝そべっていたり、手の届きそうな距離で羽の手入れをしていたりと、まるで警戒心がなくなってしまったかのようです。

 どうしてだろうと考えてみたところ、ひとつ思い当たることがありました。フェアリーペンギンたちには、健康管理のために毎週1羽ずつ捕まえて錠剤のビタミン剤を飲ませていましたが、その度に大暴れするのを何とかできないかと、半年ほど前から粉末のビタミン剤を餌に塗って与えることにしてみたのです。味が変わって食べてくれないだろうと予想していましたが、良い意味で予想を裏切ってくれました。健康面にもとくに影響はなく、この方法でも十分にビタミンを摂らせることができるようです。

 毎週捕まえられることがなくなり人への警戒心が和らいで安心しきったこの状態がフェアリーペンギンにとってよいのか、本来の適度な緊張感をもった状態のほうがよいのか、飼育係として何とも悩むところです。彼らの今後のようすに注意しながら、もうしばらくこのまま見守っていきたいと思います。

写真:観覧通路近くにいるフェアリーペンギン

〔葛西臨海水族園飼育展示係 山本達也〕

(2013年09月27日)



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