ニュース
巨大カミツキガメつかまる!
 └─2007/04/27
◎文化園四季折々


 2007年3月29日夕方、井の頭自然文化園内の水路で、職員がカミツキガメを目撃しました。大きさはランドセルぐらいあったとのこと。しかし、カミツキガメは夜行性で、昼間はどこかに身を隠しています。イシガメやクサガメとはちがい、上陸して日光浴したりはしないのです。その後しばらく、カミツキガメは目撃されませんでした。

 ところが4月8日夕方、水路の岸に近いところでふたたびカミツキガメが見つかり、職員がタモ網で捕まえようとしましたが、泥の中へもぐろうとするカミツキガメの力はとても強く、職員一人の力では捕獲できませんでした。

 そこで翌日、「カワセミ水路」でカミツキガメをさがしました。カワセミ水路とは、水生物館正面に向かって左手を流れる水路です。水深は20センチほどですが、底が泥なので、そこに潜られてしまうと見つけられません。なかなか見つからず、日中に見つけるのはやはり無理か、とあきらめかけたそのとき、流木の下に尻尾と甲羅の一部が!

 見えている部分だけでも体全体の大きさがうかがえます。尾はまさに恐竜。甲羅はランドセルのようです。すぐに応援を呼び、職員4人がかりで捕獲作戦開始です。一人が尻尾を引っぱり、もう一人が頭をタモ網ですくいあげます。しかし、思った以上に甲羅が大きく、とても網には入りません。そこで、サルを捕まえるためのさらに大きな網を取ってきましたが、それでもカミツキガメの力は強く、なかなか網に入ってくれません。あの手この手を使い、しばらく格闘した後、とうとう捕まえ、二人がかりで陸へあげました。

 カミツキガメは最大で甲長が50センチになるといわれていますが、このカメは甲長37センチ、体重は13.4キログラムでした。数字にするとたいしたことがないように聞こえるかもしれませんが、りっぱな甲羅と丸々と太った体は大迫力です。

 ぜひ皆さんにこの迫力あるすがたをお見せしたいと思い、裏側で飼育することになりました。名前は「ショウゾウ」……。じつは4月9日は、新入職員である私が研修を終え、初めて配属先である水生物館へ出勤した日です。運命の出会いということで、カミツキガメにとって幸か不幸か、私と同じ名前がつけられてしまったのです。

 悪者として取りあげられる外来生物ですが、その一匹一匹に罪があるわけではありません。今後このような生物が日本で増えていくことのないように祈りつつ、私の指が噛み切られることのないよう、気をつけながら飼育しています。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 小木曽正造〕

写真上:捕獲したカミツキガメ
写真下:腹側

(2007年4月27日)



ページトップへ