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続々・新たな視点で見てみると[17]白いニキビは大人の証?──ミヤコタナゴの追星
 └─2018/09/28

 前回に続き、井の頭自然文化園水生物館で展示していて、毎年、繁殖に取り組んでいる希少淡水魚ミヤコタナゴの話題です。

・「続々・新たな視点で見てみると[16]黄色くて細くて長くしなやかで意外と大きなタナゴの卵──ミヤコタナゴの産卵(失敗編)」(2018年9月16日)

 繁殖期になると、オスのミヤコタナゴはひれなどが鮮やかなオレンジ色に染まり、婚姻色と呼ばれる美しい体色になります。そして口先などに白っぽい小さな粒々「追星」(おいぼし)が目立ってきます。


口先や眼の上などに見られる白っぽい粒々が追星。繁殖期以外にはなくなってしまう

 追星はおもに、繁殖期を迎えた淡水魚のオスに見られるもので、口先以外にもひれやえらぶたなど、他の部分に出る種類もいます。こぶ状に硬くなった追星は、それを使ってライバルのオスを攻撃して追い払ったり、メスを刺激して産卵を促したりする用途があるようです。

 ミヤコタナゴが産卵するようすをスローモーションで撮影したところ、うまい具合に追星を使用したオスどうしのケンカも映像に捉えられていました。


【動画】ミヤコタナゴのオスどうしが追星を使って争うようす。冒頭は高速度撮影した素材を早回し
させ、実際のスピードになるよう編集した。続くスローモーションは実際の10分の1のスピード

 スローモーションの映像を見てみると、追星を相手の体にぶつけたり、体を引っかくように追星をこすりつけたりするようすがわかります。ケンカをしているオスたちは自分の子孫を残そうと必死なのでしょうが、飼育担当者としてこの映像を見ると、「適当なところで終わらせて、怪我や病気にならないでね」と思うのでした。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 三森亮介〕

(2018年09月28日)


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