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タンチョウが2羽孵化しました
 └─2016/06/03

 井の頭自然文化園の水生物園ではタンチョウのペアを飼育しています。前回お知らせした2個の卵が、2016年5月20日と21日に無事に孵化しました。

・「タンチョウが抱卵中です」(2016年4月22日)

母親とひな
嘴打ちを確認

 5月19日の朝、抱卵を交代するために親が立ち上がった際、卵に直径3センチほどの穴が開いているのを確認しました。ひなは孵化の際、殻を割るために内側からくちばしでつつきます。これを嘴打ち(はしうち)と言います。よく見るとくちばしが見え、ひなの鳴き声も聞こえてきました。

 この日は見張りをしている親がグルグルと動き回り、落ち着きがなく、とても警戒していました。ひなは何時間もかけて少しずつ殻を割ります。元気な姿を見られますようにと祈りながら、20日を迎えました。

 翌朝、卵の殻が転がっていましたが、すぐには姿が確認できませんでした。目を凝らしてよく見ていると、卵中のメスの羽の中でモゾモゾモゾ……と何かが動いており、白くて小さなくちばしが見えました。ほどなくしてメスが立ち上がると薄茶色をしたひなが現れたので、ほっと胸をなでおろしました。その際、もう一つの卵にも穴が開いており、嘴打ちが始まっていました。

孵化後の卵殻
ひなのくちばしが見える
1羽目のひな
もう1つの卵

 21日の朝には無事に2羽目が誕生していました。今では親がくちばしで魚を小さくしてひなに直接与えたり、ひなのそばに落として採食をうながしたりする行動が見られます。

 穏やかだったオスは変貌をとげ、飼育係が中に入るとすごい勢いで威嚇をしてきます。親は常にまわりを注意してひなから片時も離れず、かいがいしく世話しています。

2羽目のひな
親からえさをもらう
右が先に孵化した個体

 昨年は無精卵だったため、今年は孵化するのかどうか心配でしたが、無事に孵化しました。両親の熱心な世話のもと、日々成長しています。ひなは約3か月でおとなの大きさになります。今しか見られないひなと世話する親の姿を井の頭自然文化園にぜひ見に来てください。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 東條裕子〕

(2016年06月03日)


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