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アジアゾウはな子の近況
 └─2016/04/21

 井の頭自然文化園には、今年69歳になったアジアゾウの「はな子」がいます。2016年に入り、「安全柵」の設置後、運動場に出なくなりました。そんなはな子の近況をお伝えします。


運動場に出なくなったわけ

 井の頭自然文化園では2011年からゾウの飼育方法を見直し、「直接飼育」から「準間接飼育」に移行しました。準間接飼育とは、柵越しに動物に接する飼育管理法です。人が同じ運動場内に入って飼育管理するのではなく、柵越しにえさを与えたり、体をケアしたりしています。

 しかし、井の頭自然文化園の現在の飼育施設は直接飼育を前提とした基本構造なので、ゾウの鼻が人間のいるスペースに入ってくる場合があり、餌やりなどの日常のケアの際、注意が必要でした。

 これは、はな子が凶暴だということではなく、ゾウにとって何気ない行動が人にとっては大きなダメージになる可能性があるということです。そこで、人とゾウがおたがい安心して接するために、運動場に安全柵を設置することにして、2016年3月14日と15日の2日間、工事をおこないました。

 ところが非常に警戒心が強いはな子は、工事終了後、運動場に出なくなりました。そこで3月20日、柵を撤去しましたが、2016年4月21日現在にいたるまで、室内から出ていません。


 今は、はな子のストレスを少しでも和らげるために、毎日13時~14時にいったん展示を中止し、飼育係とのコミュニケーションの時間を確保するとともに、えさをゆっくり食べさせるようにしています。おかげで、一時細くなった食も回復しました。あとは、運動場に出るだけです。

 はな子も運動場に出たいようで、運動場への扉を開けると、鼻先を探るように外に伸ばし、運動場へ出たそうな動きも見せています。もう一息のようです。飼育係も手を変え品を変え、試行錯誤の毎日です。
 

はな子のこれから

 69歳のゾウはな子はたしかに高齢です。えさの好みもめまぐるしく変わり、昨日食べたものを今日は食べなかったり、ちょっと前まで大嫌いだったものをよく食べるようになったり、気まぐれなところを見せています。それでもまだまだ元気です。3月21日の「69歳のお祝い会」は中止になってしまいましたが、「70歳のお祝い会」は元気に迎えたいと思っています。

 ぜひ、はな子に会いに来てください。大声で声援をすると、はな子もびっくりしてしまいます。はな子と飼育係を応援するときはそっと静かに応援してやってくださいね。

〔井の頭自然文化園〕

(2016年04月21日)


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