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ひとりっ子のニホンリスは健康優良児
 └─2015/06/12

 ニホンリスは現在、繁殖シーズンのまっただなか。ウォークスルー型の展示施設「リスの小径」と、繁殖専用「繁殖棟」(2棟)では、例年どおり順調に子リスたちが育っています。今年は3月初旬に最初の出産ラッシュをむかえました。この時期に小径で生まれた9頭の子リスたちはすでに独り立ちしています。

 6月1日に小径の巣箱チェックをおこない、繁殖状況を調べたところ、子育て中の巣箱が4個あり、計13頭の子リスを確認できました。子リスの成長具合から逆算すると4月下旬から5月初旬にかけてが第2の出産ラッシュのようです。

 母リスはふつう、ケージの天井近くの金網に一列に並べて設置してある巣箱で出産して子育てをします。しかし、今回の巣箱チェックでビックリするようなことがありました。


リスのひとりっ子が育つ巣箱

 巣箱から顔を出して休むリスの姿を間近で見ていただくために、小径の出口付近にはあえて低い位置に設置した三角屋根の小さな「お遊び」巣箱がひとつあります。「ここも一応チェックしておこう」と屋根を開けてみたところ、大きな赤ちゃんが1頭入っていたのです。思わず「デカイっ!」と口走ってしまいました。

 おとな1頭でいっぱいになってしまうくらいの小さな巣箱ですが、巣材もきちんと整えられ、どうやらちゃんと育児している様子です。ニホンリスはふつう、3〜4頭出産することが多いようです。子が1頭だったからよかったものの、3頭も4頭もいたら手狭で大変だったでしょう。


丸まると太った子リス。推定25日齢前後。73.5グラム

 ひとりっ子は母親のおっぱいを独り占めできるからなのか、丸々と太っています。目が開く直前であり、外貌から判断すると約25日齢前後と推定されます。体重を計ってみたところ、73.5グラムもありました。現在、繁殖棟の子リスの成長過程を調査していますが、同じ日に計測した目が開いたばかりの30日齢の子リスの体重が58グラム、この個体が27日齢のときは50グラムでした。ひとりっ子リスの健康優良児ぶりがおわかりいただけるでしょうか?


繁殖棟で別の個体を体重測定。30日齢で58グラム

 赤裸で生まれてくるリスの赤ちゃんが巣箱から顔を出ようになるまでには、生まれてから約40日かかります。おそらく、この子リスが出てくるのは、6月15日ごろの予定です。母親が巣箱を移動してしまったら悪しからずですが、うまくいけば間もなく、この子リスが巣箱から顔をのぞかせる姿を間近で見られるかもしれません。どうぞ楽しみにしていてください。

〔井の頭自然文化園飼育展示係 高松美香子〕

(2015年06月12日)


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