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ムサシトミヨの巣作りと子育て
 └─2015/05/01

 井の頭自然文化園の水生物館では、ムサシトミヨを展示しています。ムサシトミヨはトゲウオ科トミヨ属の全長5センチほどの魚で、繁殖のためにオスが巣を作るというユニークな習性があります。

 今、このムサシトミヨの巣作りや卵を守る行動を、水生物館の展示水槽で見ることができるんです!

 オスは2015年4月16日から巣作りを始めました。水草のかけらを口でくわえて集め、体から出す粘液で固めて巣を作ります。巣は2日間で直径3センチほどの丸い形になりました。


ムサシトミヨと巣

 オスは巣のまわりをなわばりとし、成熟したメスを見つけると巣に産卵してもらおうと誘いに向かいます。水槽には卵でお腹がふくらんだメスが何尾もいて、オスがメスたちを誘っているのが何度も観察されました。

 水槽正面に見える巣穴は小さいため、中まではよく見えませんが、4月20日に撮影して拡大すると、産みつけられた卵が確認できました。

 その後もオスは巣材を巣に運び、メスを誘う動きを繰り返して順調に繁殖は進んでいるように見えたのですが、4月27日から巣が壊れ始め、翌日には向こうが透けるくらいに崩れてしまいました。

 何かに驚いたりすると巣作りを止めてしまうことが過去にもあったので、刺激しないようにそっと見守ったところ、29日の朝、巣はすっかり修復され元通りになっていました。

 この記事を書いている4月29日の時点では、オスは巣穴によく頭を入れ、胸びれを動かして卵に新鮮な水を送るようすが観察されています。

 卵は7〜10日間で孵化し、生まれた子どもは5〜7日間ほど巣の中に留まります。順調にいけばあと1〜2週間巣は見られると思われます。これからしばらくオスは巣の世話や子育てで忙しい毎日を送るでしょう。井の頭自然文化園の水生物館でその姿をごらんください。

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 木船崇司〕

(2015年05月01日)


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